おしえてアナリスト
Q 質問
広告市場の見通しはどうなりそうですか?
A 答え
今週月曜日、8日に行いました直伝ネットセミナーにて「広告市場の見通しはどうなりそうですか」とのご質問を頂戴いたしました。本メルマガ上にてご回答申し上げます。なお、「広告市場」はマクロ予想で用いられる言葉の「広告費」と置き換えさせていただきます。
広告費の予測を行う際に用いているのは数字と実際の声になります。
数字は過年度の実績と名目GDP、簡易的な営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)、売上構成比の推移を用いています。
広告費は名目GDPと相関があることで知られています。2007年に電通は日本の広告費の推定範囲を改定したため統計的に広告費を導き出すことは難しくなりましたが、概観をつかむことは可能です。広告費の伸び率と名目GDPの伸び率を順に並べますと、2005年は+2.9%、+0.7%。2006年は+1.7%、+1.1%。2007年は+1.1%、+1.6%。2008年は-4.7%、-2.0%、2009年は-11.5%、-6.0%となります。
また、広告は媒体や商材にも依りますが、1カ月から半年程度の先の支出となります。掛による支払いが慣例とはいえ、資金繰りが厳しいときには絞られやすくなります。そのため、企業のキャッシュフローの動向もポイントとなります。私は法人企業統計から簡易的な営業キャッシュフローを用いていますが、明確な相関は取れないものの方向感は概ね一致していると捉えられます。
名目GDPについてはOECDが+0.1%、IMFが+0.9%の伸び率を2010年の日本について予想しています。両者の為替レートの前提は異なるため数字の単純比較はできませんが、伸び率は小幅になる見通しで、結果として広告費の増加も多くは期待できない状況といえるでしょう。
また、企業のキャッシュフローの動向としては昨年10-12月に経常利益がプラスとなるなど明るい兆しが見えているものの、先行DIにはまだ弱気の姿勢が見られます。よって、2010年の広告見通しとしましては、年末にかけて回復するシナリオとなりそうです。
視点を転じまして媒体別に動向を見ますと、一部クライアントが値下げなどによってテレビのスポット広告を積極化させた寄与などからテレビの広告費には底打ちの兆しが見え始めております。しかし、先行きを不安視するため固定支出を嫌気する向きがあり、タイムの動向はまだまだ芳しくない状況にある模様です。枠自体は埋まる速度が速まってきたとの声も聞かれますが、売上高の動向としては小幅な伸びに留まるとの見通しが大勢であるように感じられます。
新聞、雑誌という紙媒体は押し紙の問題や総発行部数の減少により売上を確保することが難しい状況にある模様です。
プロモーション関連は、顧客ニーズは高いが、売上など結果を得ようとする程に先行費用が累積的に嵩むため、営業には苦労されているとの話が聞かれます。
インターネットは伸びておりますが、インターネット広告の場合は出稿主が自らのWebサイトや実売へ結びつける仕組みが構築されていることが要件となります。そのため、電通や博報堂においては一部クライアントが減少する予算枠の中で比重を増した効果がインターネット領域の伸びとして現れている側面もあり、中小のインターネットの広告代理店を見ても業績の伸びが鈍化している傾向にあります。
2009年の売上構成比を見ると、テレビが最大の構成比で29.0%、次いで新聞を抜いたインターネットが11.9%となっています。インターネットは伸びているとはいえ2008年が+16.3%、2009年が+1.2%にとどまります。テレビが横ばいとしますと、インターネットの伸びが他をどれだけカバーできるかに広告費の見通しが関わってきますが、紙媒体他の減少を補うには至らないと考えられます。
色々とお聞きする話をまとめますと統計上の数値と合致してくるものであり、2010年の広告費はよくて小幅の伸びにとどまり、それも年末にかけての回復次第となりそうです。
中期的には日本経済の成長とリンクしていることから考えて、政府筋から聞こえてきます名目GDPの3.0%成長が現実味を帯びるかが鍵となりそうです。(鈴木 崇生)
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