おしえてアナリスト
Q 質問
グローバル化、オンライン化が進む中で物流は今後更に重要なポジションを占めると考え、ヤマトホールディングス(9064)に注目していますが海外物流企業との競争も予想されます。同社の海外戦略の現状と、同社の海外市場におけるポジショニングの今後の見通しを教えて下さい。
A 答え
ご質問ありがとうございます。同社主力のデリバリー事業は現状では国内市場が中心です。10/3期の海外売上高比率は1.4%しかありません。海外でのデリバリー事業は10年1月にシンガポール、上海で開始したばかりです。11/3期会社計画の宅急便取扱個数は約13億個ですが、うち両地域で合わせて1%程度と推測されます。また台湾では統一企業グループ(台湾)とライセンス契約を結び、統一企業グループの統一速達が事業を行っています。
国際宅配便市場ではDHL(米、ドイツポスト[独]傘下)、UPS(米)、TNT(蘭)、フェデックス(米)など外資系企業が先行していますがこれはB to B(企業間取引)や国と国とを結ぶ宅配便が大半と見られます。同社の基本戦略(ポジショニング)はto C(対個人)であり、海外で狙っているのはアジア地域内での宅配便事業です。つまり国内でこれまで展開して来たビジネスモデルをアジアに広めようとしているのです。
TIWでは同社の宅配サービスはアジアの国々でも受け入れられる余地が十分にあると考えます。この理由として、①to Cでのアジアでの競合企業はほとんどない、②宅配サービスを支えるITシステムやノウハウの面で参入障壁が高い、の2つが挙げられます。加えて、同社が従来から強みとする「クール便」、「時間帯お届け」などのきめ細かなサービスは、共働きの家庭が多い中国やシンガポールなどアジア各国で通用する可能性が高いと見ています。
10年4月20日付の日経新聞は「10年後にはアジアの宅急便取扱個数を国内並みの年約12億個に引き上げる」と報道しました。会社側に確認しましたが、現状ではまだ明確な数値目標を設けていないようです。TIWでは、同社の海外事業は現地社員教育の徹底が必要であり、新聞報道のように急速な事業拡大は難しいと考えます。但し、中長期的にはアジアの宅配市場は開拓余地が大きいのは間違いありません。この点で同社にはスピード感を持って海外事業の収益化を急ぐ必要があると言えそうです。同社の海外事業を株価に織り込むのは時期尚早と考えますが、TIWでは新たな収益の柱になりうるビジネスとして、海外事業の進捗状況に注目しています。
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