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おしえてアナリスト

日本企業の海外進出について~BOPビジネスの視点~

Q 質問

BOPビジネスに関する西村アナリストのコメントは大変参考になります。さて新興国や途上国に対する日本企業の進出ですが、素晴らしい環境技術等を持ちながら、思ったほど伸びていないし、この先もあまり期待が持てないのではないでしょうか?価格が高いうえに、過剰品質な製品が多く、相手先のニーズを満たしていないと思われるからです。今後の日本企業にはBOPビジネスの視点が必要と考えています。西村さんは、どのようにお考えでしょうか?

A 答え

西村です。貴重なご意見を頂戴し、とても嬉しく思っております。有難うございます。ご指摘のように、相手先のニーズを満たしていないと新興国ビジネスであれ、BOPビジネスであれ、失敗するのは確実と言えます。とりわけBOPビジネスでは、現地で暮らす貧困層の生活実態を踏まえた商品開発が必要です。「安い」というのは確かに重要な要素なのですが、それだけでは十分とは言えません。それぞれの地域で必要なニーズが異なるからです。
 
ここで参考になるのが、BOPビジネス研究がご専門の槌屋詩野さん(日本総研)のケーススタディ(国際開発ジャーナル 2009年6月号)です。槌屋さんは、携帯電話で世界のトップシェアを持つノキアのアフリカビジネスの事例を紹介しています。それによればノキアは、「電源がないという現地事情から分散型電源タイプの電波塔を設計し、コミュニティー単位で管理できるように設計。また一度携帯に充電したら次にいつ充電できるかわからない、というハードな自然環境にも対応できるよう、360時間充電不要なモデルを開発した」ということです。
 
ノキアの事例は現地のニーズを汲み取るのが如何に重要かを示唆するとともに、商品開発に先端技術が必要なことも教えてくれます。ご案内の通り、日本企業はこれまで人口所得階層ピラミッドの最上位層をターゲットにビジネスを展開してきましたので、多くの機能を追加した商品開発に注力してきました。当然ですが、BOPビジネスではこのような商品は売れません。しかし日本企業の場合、ノキアの事例が示すように高技術力を活かすかたちで、現地のニーズを吸い上げた商品を出すことは可能です。この意味で日本企業は規模を問わず、BOPビジネスで成功する余地はあると考えます。
 
現在、日本の大手企業は新興国ビジネスの拡大に本腰を入れ始めました。新興国ビジネスでは中間層が対象なのでBOP層よりは購買力があります。とは言え、単に低価格製品を投入するだけでなく、現地の実情に応じた商品が求められます。例えばシャープや三菱電機は近く中国やタイで設計から生産、販売まで一貫するかたちの商品を投入する計画です。現地のニーズを取り込んだ商品で、市場を開拓するのが狙いです。大手メーカーの姿勢もかなり変化してきたように見受けられます。
 
話をBOPビジネスに戻します。昨年から4回に亘って開かれた経産省のBOPビジネス政策研究会が終了し、2月に報告書がまとめられました。国がBOPビジネスに進出する企業の支援を行なう方針を明らかにしたのです。今後は官民合同でBOPビジネスを推進するプラットフォームを設立し、BOPビジネスに乗り出そうとする企業に対し、現地の情報提供やコンサルティング、現地NGOとのコンタクト、などをサポートすることになります。
 
これまでも何度か述べてきましたが、国内マーケットが縮小するなかで、日本企業は基本的に業種を問わず海外市場に活路を見出すしか生き残る術はありません。当面は、日本企業が従来とは大きく異なる新興国やBOP向けのビジネスモデル構築ができるかどうかに注目したいと考えています。
 

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