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TIWマガジン「投資の眼」

おしえてアナリスト

投資判断の基準となる適正PERについて ~藤根靖晃シニアアナリストの回答~

Q 質問

よく「PERが高い」とか逆に「PERが低い」とかが投資判断の基準のひとつにされております。それでは、高くもない、低くもない、言ってみれば当該企業の経営状態に見合った適正な数値はどの辺りと考えればよいのでしょうか。

A 答え

PERが割高か割安かを考える上では、マーケット全体の平均値や、あるいは同業他社との比較、などで行うのが一般的です。しかし、個別の企業や産業の成長率や事業の安定性、財務構造などがありますので、単純に割安かどうかを判断するのは難しい面があります。PERは株式が将来の利益の何倍まで買われているのか?ということを表したものですが、利益が100%配当されるという前提で配当割引モデルを代入すると、PER=1/(r-g)と表されます。
(r):投資家の要求利回り
(g):配当金の平均成長率
(r)は、安全資産利子率や株式のリスクプレミアム、事業リスク、財務リスクなどを含んだものです。つまり、PERは市場金利の変化や投資家のセンチメント等で変化する可能性があります。(r)は、さらにCAPM(資産評価モデル)では、r =  rF+β×(rM-rF)と分解することが出来ます。
(rF):無リスク資産の金利
(β):株式市場全体に対する相対的なリスク指数
(rM):株式マーケットのリスクプレミアム
話しが複雑になりましたが、成長率(g)=ゼロ 投資家の期待利回り(r)=7%と置いた場合のPERは、1/(0.07-0.00)=14.2倍となります。
ここで7%としたのは、無リスク資産の金利(=10年国債利回り)を1%、一般的な株式のリスクプレミアム6%と置いたからです。
つまり、成長率ゼロの(財務構造や事業リスクが)普通の会社のPERは14倍位が妥当な水準なのです。現在のTOPIXの予想PERが14倍程度であるのは、結構的を得ているわけです。
さて、実際の株価を考える上では、前述した成長率とリスクプレミアムに加えて、ROE水準や財務レバレッジ(D/Eレシオ)、配当性向などの要素によって決まってきます。PER、PBR、ROEは次の関係式から示すことができます。
PER=PBR/ROE 時価総額/当期利益=(時価総額/株主資本)/(当期利益/株主資本)
つまり、ROEとPBRが決定していれば、PERはその計算結果になるわけです。私自身はPERの値よりもPBRを重視して考えております。PBRとROEは次の関係式から考えることが出来ます。
rx=〔1-σ×(1-B/P)〕・ROE
(rx):固有のリスクプレミアム
(σ):配当性向
(B):BPS=一株当り株主資本(あるいは株主資本)
(P):株価(あるいは時価総額)
私は、上記公式を展開して株価水準を見る上での簡便法としてPBR=ROE / rxを常に考えております。
ROE/rx=1/〔1-σ×(1-B/P)〕
σ=1の場合(配当性向100%)
ROE/rx=P/B
rxの値は、その企業の成長性や固有のリスク、財務構造によって変化するのですが、現在、日経平均のrxは、6.4%前後になっております。この値を使って計算しますと、ROEが8%の企業の妥当なPBR水準は1.25倍程度と算出されます。先ほど申し上げましたように財務構造(D/Eレシオ)や成長性などによって異なりますので、あくまでも一つの目安として御考え下さい。

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