アナリストレポートから資本市場の変革にチャレンジするTIWです

Toward the Infinite World

 
TIWマガジン「投資の眼」

おしえてアナリスト

中国での日本製品不買運動の日系車現地生産への影響に関して その③

Q 質問

自動車企業の利益をみる場合、なぜアナリストの方はEBITを使うのでしょうか。

A 答え

損益計算書の営業利益(EBIT)に減価償却費を足し戻したものがEBITDAと言えます。企業が設備投資やM&Aなどの先行投資を積極的に行えば減価償却費の増加やのれん償却費の発生などにより、短期的には現金支出を伴わない費用が大きくなり会計上の利益は小さくなります。EBITDAでは(1)この短期的な影響が除かれるため巨額の設備投資を伴う業種では長期的な視点で企業価値を評価するのに適切である、加えて、(2)その企業が財務構成(借入金や余剰資産の多寡)にかかわらず中核事業の事業活動そのものでのキャッシュ獲得能力を表すのに有効である、などがその有効性として指摘されます。しかし、一方でEBITDAは(1)過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失をマイナス要因として取り込むことができない、(2)設備の維持コストなど即座に費用として計上されない項目は抜け落ち、大掛りな設備投資による利益圧迫要因を捉えることができない、などがその欠点として指摘できます。自動車アナリストがEBITを使うのにはこうしたEBITDAのマイナス面への配慮があると推察されます。更には恒常的に設備投資が必要な業種であるが故に設備投資→減価償却は経費に近い性格となるためEBITを使っていると考えられます。ただし、バリュエーションの国際比較という視点では、各国の税制に規定される減価償却費の影響を除くEBITDAの方がより適切なのかもしれません。要は各指標の長所、短所を確り捉え指標を活用することが肝要だと考えます。なお、米通信大手のワールドコムが2002年に破綻し、粉飾決算が明るみにでましたが、その際EBITDAの特性を活用して実力を過大にみせていたことが判明、EBITDAの有用性への疑問が高まったことは記憶に留めて置く必要があるでしょう。

免責
本レポートに掲載された情報・意見は株式会社ティー・アイ・ダヴリュが信頼にたると判断した情報源に基づき作成したものでありますが、完全性、正確性を保証するものでは有りません。本レポートに掲載された内容は必ずしも適切且つ妥当なものとは限りません。投資に係る最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行って下さい。

利益相反に関する開示事項
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ(以下、「T.I.W.社」)は、契約に基づき、アナリスト・レポートの提供を継続的に行うことに対する対価を契約先証券会社より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありません。レポート対象企業の選定はT.I.W.社が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先証券会社を含む第三者からの指定は一切受けておりません。
担当アナリスト並びにT.I.W.社と本レポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。