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アナリストコラム

機械セクターの11/3期1Q決算の注目点 —高辻 成彦—

2010年07月23日

次週より11/3期1Q(4-6月)決算説明会シーズンが本格開始となる。決算発表直前だが、機械セクターの1Q決算の注目点を大胆にも考えてみたい。1Q決算における機械セクターの注目点を列挙すると、

・投資の強さが持続するか(半導体製造装置)
・国内自動車産業の設備投資需要が戻るか(工作機械・産業用ロボット)
・中大型機の需要が戻るか(工作機械)
・小型機の需要拡大が持続するか(工作機械)
・中国向け建設機械需要の拡大が持続するか(建設機械)
・他地域でも回復が顕著になるか(建設機械)
・国内自動車産業の需要拡大が持続するか(ベアリング)
・為替前提・通期業績予想をどう見直すか(ほぼ全社共通)

などが考えられる。全体的には1Qで急速に円高ユーロ安が進んだことから、通期為替前提及び業績予想をどう変えるかが注目点になるだろう。各業界については次のとおり。

<半導体製造装置>
依然力強い受注拡大の方向にあると見ており、あまり不安材料はないと考えているが、前4Q(1-3月)比で1Q受注がどれほどの増減になったのか、注目される。

<工作機械>
工作機械メーカー各社の月次受注高の推移を見るに、1Q受注では中大型機で回復の動きが出て来たと推察する。しかし小型機は、ツガミ(6101)を例にすると1Q受注は前4Qに比べ減少しており、他社(ファナック[6954]のロボドリルなど)も高水準ながらやや一服した可能性がある。今後、工作機械の需要拡大の主役は小型機から中大型機に移ると見られるが、この辺りを注目しながら決算内容を見ると面白いだろう。

<産業用ロボット>
国内自動車産業の設備投資需要はまだ低調ながら、韓国や中国の現地自動車メーカーとの取引が拡がりつつあると見られる。このため、徐々に需要は拡大する展開になると現時点では考えている。1Q段階では需要はまだ低調と見られるが、仮に国内自動車産業向けで回復が顕著になれば、好材料だろう。なお、既に1Q決算を公表している安川電機(6506)の1Q単体受注高は前4Q比でプラスとなっている。

<建設機械>
7月16日にコマツ(6301)が早くも11/3期業績予想を上方修正した。中国向けの需要拡大が持続しているか、中国以外の他地域でも回復が顕著になっているかが注目点となりそうである。

<ベアリング>
機械セクターの中で需要回復が先行しており、1Qも需要拡大が持続していると推測される。しかし9月に国内のエコカー購入補助金制度が打ち切りになることもあり、通期業績予想がどう変わるかが注目点だろう。

これらの点に注目しつつ、今後も弊社レポートを是非ともご購読頂ければ幸いである。

なお余談であるが、先の参議院議員選挙において、各党の主張を報道で見る限り、円高是正策についてあまり触れられていない印象を受けた。このまま円高が続けば機械セクターに限らず、輸出産業が大打撃を被るのは必至であり、何らかの政策対応が必要になるだろう。今後の政府・各党の活発なる政策提起・対応に期待したい。

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