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アナリストコラム

資源開発と環境保護の両立はできるのか -溝上 泰吏-

眼にする機会が増えた"リチウム"、従来は耐熱ガラス向けが中心だったが、90年代以降にリチウムイオン電池が登場以来、急拡大し現在の主途別は、電池向け(需要の23%:09年)がトップとなっている。

リチウムは、鉱石から採取する「山リチウム」と塩湖から採取する「海リチウム(かんすい系)」に大別でき、供給量の6割を海リチウム(地表の7割を占める海水からも取れますが、濃度が低いため現在の技術ではコスト高となり、濃度の高い内陸乾燥地の塩湖のものが使われる)で占めている。海リチウムの製造工程(蒸発池で濃縮:濃縮かんすい→石灰添加(マグネシウム除去)→ソーダ灰添加(塩化ナトリウム除去)→炭酸リチウム回収)が山リチウムの製造工程(鉱石粉砕→硫化焙焼か硫酸溶解→硫酸リチウム→薬剤処理→炭酸リチウム)に比べシンプルでコストが安いことが普及した背景。08年の主要生産国はチリ(シェア43%:海リチウム)、アルゼンチン(15%:海リチウム)、豪州(21%:山リチウム)、中国(10%海+山リチウム)となっている。メーカーではSQM社(チリ)とケメタル社(独)の子会社SCL社の2社で全世界の生産量の4割強を占めている。

リチウム生産地(塩湖)で埋蔵量が多いのはアタカマ塩湖(チリ:埋蔵量600万トン)、ウユニ塩湖(ボリビア:550万トン)、東台湖/西台湖(中国:180万トン)、サブイェ塩湖(中国:153万トン)、リンコン塩湖(アルゼンチン:140万トン)、青海塩湖(中国:130万トン)、オラロス塩湖(アルゼンチン:30万トン)、DXC塩湖( 中国:14万トン)の順となっている。

この中で最も注目を集めているのが、ウユニ塩湖である。ウユニ塩湖は不純物が多くリチウム抽出に技術を要するが、ボリビア政府は自国による生産を望んでいるため、開発がかなり遅れている。昨今のリチウムイオン電池需要拡大を見込んで、フランス、韓国、中国、日本が積極的にボリビア政府にアプローチをかけている状況。

一方でウユニ塩湖は、雨期になると湖面に水が張り天空が鏡(アンデスの鏡)のように映し出される。こうした絶景もありウユニ塩湖は、最近テレビや雑誌に取り上げられる機会が増え、知名度が上がってきたこともあり、年々観光客が増加しているようだ。

資源開発と環境保護が両立できるのかどうか同塩湖の今後の動向に注目したい。

[03.25.更新]