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民主党政策集「INDEX2009」が与えた意外な波紋 -ニアプライム-

2009年07月31日

政権交代が現実味を帯びる中、7月23日に発表された民主党政策集「INDEX2009」が、27日に民主党のホームページからダウンロードできるようになった。21項目、64ページ(項目名索引を除くと49ページ)もある中、19番目の国土交通という項目で、中古住宅の流通を活性化させるために、両手取引の原則禁止が盛り込まれたことが、不動産流通業界に波紋を呼んでいる。41ページに「一つの業者が売り手と買い手の両方から手数料を取る両手取引を原則禁止とします。」とたった2行あるだけで詳細は不明だが、28日に住友不動産販売(8870)、東急リバブル(8879)の株価は急落した。 民法では利益相反の観点から双方代理が禁止されている。しかし、不動産仲介の世界では代理ではなく、あくまで仲介という理屈で買い手側と売り手側の仲介業者が同一でも問題はない。売買仲介の手数料は片道約3%。正確には3%+6万円(税別)が上限。リテールではほぼ上限の手数料が取られており、売り手と買い手の双方から手数料をもらえれば(両手取引)、手数料率は約6%となる。大手仲介会社の手数料率は概ね4.5%程度。すなわち、約半分は両手取引ということになる。現場では、指定流通機構(レインズ)をみて問い合わせをしてきた業者に「その物件は契約予定です」とか「話が入っています」とか何とか言って、他の業者が絡んでくることを邪魔するケースがあるといわれている。これは、売り手の売却機会、買い手の購入機会を阻害することになる。消費者保護の観点から民主党はこの点を問題視しているとみられる。真偽は確認できていないが、不動産コンサルタントの長嶋修氏が民主党の中村哲治参議院議員などに働きかけた結果、「INDEX2009」に盛り込まれたといわれている。中村哲治議員は筆者の実家の選挙区選出で筆者が受験に失敗した中学・高校の出身の若手政治家だが、住宅政策に強い関心を持っているという。 それでは、これまで4.5%程度だった手数料率が約3%になり、大手仲介会社が大打撃を受けるのかとなると現時点では何ともいえない。業者が双方の側に立つこと自体が禁じられれば、全体のパイは変わらないので、手数料収入は余り影響を受けないかもしれない。ただし、両手取引の方が効率は良いため、同じ手数料をあげても費用が増加することは避けられないだろう。 業者が双方の側に立てるが、手数料は片方から約3%しか取れないということになると影響は甚大になろう。両手取引の比率はブランド力、集客力のある大手の方がまちの不動産屋よりも高く、リテールの方がホールセールよりも高い筈である。従って、こうした事態になった場合、最も影響を受けるのは住友不動産販売かもしれない。 いずれにせよ、宅建業法の改正が必要であり、簡単な話ではないが、民主党は不動産仲介業者、宅建資格保持者約82万人(うち就業者は約27万人)を敵に回したかもしれない。おりしも7月は宅建の受験申込みの時期である。例年、約20万人が受験する。 Written by ニアプライム

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