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ぶれる人、ぶれない人 -Perverse Boy-

いつ頃からでしょうか、アイツはぶれているとか、お前はぶれているという「ぶれる」という単語が批判的な文脈に用いられるようになりました。ご案内の通り、今や「ぶれる」という言葉は他人のネガティブと感じられる行動や考え方を批判する代表的な定番単語の一つになっています。

果たして安易に他人をぶれていると批判している人間達自身が、果たして本当にぶれていないのでしょうか。

時流であるとか世間の空気の流れというなかなか抗しがたい大きなベルトコンベヤーに乗って身を任せれば、同じくその大きな流れに乗っている他人たちの相対的位置が変わらない以上、自分が観ている風景は従前と変わらないので、自分はぶれていないと信じ込むことになります。しかしながら、そのベルトコンベヤーよりも速い速度で歩いている人や、動かず定点にとどまっている人物は、ベルトコンベヤーに乗っている人から見れば、当然動きがぶれて見えます。

しかし残念ながら現実は私たちが予想するより早く変化するのです。世間の時流のベルトコンベヤーよりも早く。

一般的に私たちは、将来に対する予想を過去や現状の材料に基づいて行うことが多いのですが、その予想は大概外れてしまいます。なぜなら私たちは過去の判断を正当化しようとする傾向が強くその結果、新しい情報に対する判断を誤ることが多いからです。言い換えるのなら、新しい情報に対して保守的または防衛的な解釈を行ってしまうので、正しい時の流れの向きや将来に対して適切な判断ができなくなるのです。

米国の科学史家であり哲学者のトーマス・サミュエル・クーンはその著書『科学革命の構造』でこのように述べています。「次世代のパラダイムに早くから気づくためには、ほとんどの場合、多くの反証を切り捨てなければならない。新しいパラダイムが、まだ多くの問題を抱えているその時に、古いパラダイムに打つ勝ことを確信しなければならない。このような判断は、直感によってのみ到達しうるものである」と。

パラダイムや世の中の構造の変化、それらを感じようとしない、もしくはそれらに無頓着であるにもかかわらず、他人をぶれていると安易に批判する人達は、実はただ自分自身がぶれているだけではないでしょうか。

ぶれるという表現はあまりにも安易で安直です。

で、そう言うお前はぶれないのかですって、そうですね、一から腹直筋、大胸筋そして後背筋を鍛え直さないといけません。

Written by Perverse Boy

[04.25.更新]