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青春の日々を思い出した夜 -wildernesswolf-

2015年10月16日

少し前に、或る集まりがあった。
40?50人が参加した懇親会であったが、最近はタバコを吸わない人が増えたため喫煙者の肩身は狭い。そのため、いち早く8つくらいあるテーブルの一つに同じく喫煙者のA君を誘い、喫煙テーブル宣言をした。
A君は座ると直ぐにタバコに火をつけた。まだ30代前半の彼はマイペースで飄々としており、不思議なオーラがあった。後から来た人が着席する中で、私の隣に20歳代の凄くかわいい感じの女性が席に着いた。その夜の集まりは女性が3分の1くらい居たと思うが、間違いなく、一番の美人だったと思う(以下、B子さん)。
「ここ喫煙者が集まっているけどいいの?」
私が聞くとB子さんは構わない、と。その後、話していて気づいたのだけど、B子さんはこの会合には初めて参加していてあまり知人も無く、A君が知り合いだったらしい。

A君とB子さんと3人で会話している中でお酒の話がでた。
A君:「お酒は良く飲むのですか?」
B子さん:「ええ」
A君:「実はお酒好きでしょ?」
B子さん:「実はそうなんです」
A君:「何を良く飲むの?」
B子さん:「(何故かちょっと間があって)日本酒が好きなんです」
この展開は、A君が誘えば応じるのだろうなと思ったが、何故かA君は違う話に振った。
その後もA君に一生懸命に話しかける彼女を見ていて、いつまでもこの席に座っているのは野暮だと思い、「ちょっと他のテーブルも回ってくるね」と言って席を立った。

懇親会が終わり、帰り道でまたA君と一緒になった。
「彼女(B子さん)と次の約束は出来た?」と訊くと、
「約束なんかしてないですよ」、とA君。
「ええ?、あれはどう見ても誘って欲しい感じだったけど」
「そうですかぁ?」
「じゃあ、もう一軒行こう」

歩いている周りに居た数人を誘って近くの飲み屋に入った。
そうして飲んでいる時に、A君の携帯に電話がかかって来た。
「(電話に向かって)Wさん、Xさんなんかと飲んでる」、と話している。
「誰?」と訊くと、先ほどの懇親会にも出席していた昔から知っている女性からだった(以下、C子さん)。
「何で、Cさんから電話がかかってくるの?」
「なんか飲みたいみたいですよ。神楽坂上で電車を降りたとか・・・・」

その瞬間、漸く全てが腑に落ちた。
A君が、B子さんを誘わなかったのは、C子さんという付き合っている女性が居たからであり、しかも、懇親会の場にはC子さんも居て、多分、目を光らせていたのだろう(A君は女性にもてそうだしね)。
A君は、家が遠いのでその日は最初からC子さんの家に泊まる予定だったのだろう。A君から連絡が無いのでC子さんが電話してきた。

その頃は結構酔っ払っていたのでなんだか分からないけど、その場のノリで皆で神楽坂上に行き、近くのワインバーに入った。
「なんで、A君にC子さんから電話があるの?」
「なんか、A君だったら飲んでいそうな気がしたから」、とC子さん。
「もしかして、二人は付き合っているの?」
「そんなんじゃないですよ」、と二人。
「電話の会話が全然、ため口だったじゃない?」
(C子さんは、A君より10歳前後の年上のはずなのでため口はちょっと不自然)
「僕って普段からそんな感じじゃないですか」、とA君。

これ以上の突っ込みは野暮だろう(十分野暮だったけど)。
その後、解散してそれぞれタクシーに乗っていった。僕は、「じゃあ」と行って先に歩き出し、遠めに皆がタクシーに乗る姿を見送っていた。他の人を見送ったあと二人は同じタクシーに乗っていった。

二人のこれからに幸あれ。

by: wildernesswolf

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