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一流国よりも世界一幸福な国へ -wildernesswolf-

2015年11月06日

ノーベル賞を受賞した大村智氏の経歴と行動を見ながら感じたのだけれど、ノーベル賞を受賞するような人は(例外もあるだろうけど)基本的には無私なんだと思う。
世の中に役に立つことをしたい。誰もやっていないことをやろう。真理を探究したい。そんな思いが生き方の根底に在るのだろう。

いい暮らしをしたければ勉強をしなさい。いい大学に入って大きな会社に入れば安定した生活をおくれるよ。医者になれば将来は安泰だ。公務員になれば勤務時間もきっかりしていて、恩給ももらえる。外資系企業は給料が高い。
レールから外れるともう元には戻れない。高卒ではちゃんとした会社には入れない。車輪の下で生きていくのは辛いよ。

子供の頃からそんな話を聞いて育ってこなかっただろうか。
自分よりいい大学の人に引け目を感じ、聞いたこともない大学に優越感を覚え。
肩書きに執着し、肉体労働者を蔑視する。
誰もやりたがらない仕事を外国人がやってくれているのに、治安が悪くなると騒ぎ立てる。

高収入であることは、納税者という意味では社会貢献をしていることは間違いない。
しかし、納税額は僅かでも、笑顔が素敵なだけだって、多くの人を幸福にしているかもしれない。
結果としての社会貢献も重要だが、意識の方がより重要ではないだろうか。

自分が貢献できることよりも先に、自分が何を得られるかを考える。
小さな損得に拘るか、不利益(リスク)の可能性を排除する。
そうして社会全体が椅子取りゲームになってゆく。
生き残るために自分より弱いものを叩く。叩く。叩く。

学校教育の問題が取り上げられるが、一番重要なことは学力ではないと思う。
どれだけ懐の深い、大きな人間を作れるかということ。
戦前、戦後は大学進学率が低かったけど世界に通用する人間を輩出できた。
それは何故だろうか?

世の中の役に立つ、ということが教育(学校以外の場も含めて)の根幹に在ったからではないだろうか?
政治家は文字通り命を懸けていた。ナショナリズムという間違った方向に行ってしまったが、陸軍、海軍の軍人もまた世の中(この場合は日本だが)を良くしようと考えていた。
大村智氏はそんな古いタイプの日本人を彷彿させてくれる。

子供にはいい暮らしをするために勉強しろと言ってはいけない。
良い大学に入って大きな会社に入るために勉強しなさいと言ってはいけない。

世に中の役に立てる人間になるために勉強しろと言い続けたい。
全ての親がそうやって子供を育てたとすれば、一流国ではなくても世界一幸福な国になれるのではないだろうか。

By:wildernesswolf

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