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一人で学べるファイナンス理論 -ZIP-

2012年09月21日

一人で学べるファイナンス理論というサイトを見つけた。
証券アナリスト試験対策の講座の紹介サイトであるが、ファイナンス理論を学ぶ人向けのテキストなどを公開している。
このような充実したサイトをよく無料公開しているなと思い見ていると、偶然か必然か佐野三郎氏の名前が目に入った。恥ずかしながら挫折したままであるが、ファイナンス理論をきちんと学ぼうと思い立った数年前に『現代ファイナンス分析 資産価格理論』という本を購入した。その本の翻訳者の一人の方である。

気になったのでメールをしてみた。そうすると、講座(ZIPという名称)自体のつくりが、『現代ファイナンス分析』の原書を勉強された段階でまとまってきたものであるため、講座と本にはつながりがあり、関連事項も話してくださるとの回答をいただいた。さらに、受講料も大手予備校の5分の1程度でと安価でもあったため、6?8月の講座に参加した。

証券アナリスト試験の協会テキストや参考書籍は非常に内容が広範である。その内容を1次用では6回(30時間)で2次用では5回(25時間)にまとめている。たしかに、ファイナンス理論の多くの論点は割引率や分散の知識が様々なところにちりばめられているので、まとめることはできるのだろうが、全て網羅されて1次用は80ページ程度のハンドアウトであった。驚異的な圧縮である。さらに、ファイナンスに必須の考え方→ミクロ経済学→ファイナンス→財務→マクロ経済学という流れになっておりこれまで、断片的であったり、もやもやしている知識のつながりを強く感じられる内容であった。
講座は教室で行ったものをネット上の音声で繰り返し授業(途中途中録音とめての雑談は入っていない……)を聞きなおすことや授業更新ごとに最新の音声も聞くことができる。道具は、シンプルなものほど良いと感じる性分のため一種の感動を覚えた。

これまで勉強するためにコスト高であったものが非常に安くなってきており、そしてわかりやすくなってきている。昔は、勉強というのはわかる人がわかればよいといったスタンスであったり、お金が結構かかることがあたりまえであったと思う。それが、サービス業の進化のためか、学ぼうと思ったものはたいてい低価格で学べるようになっている。

フリーラーニングというサイトも経済学的な考え方を広めたいとの意向があり、
テキスト代だけで予備校よりも充実した内容で経済学が学べることが売りであると理解している。今回のZIPも大手予備校の1/5程度の料金である。しかも、内容は切れ味のよい短刀のようなもので、あれやこれやの知識ではなく一本筋の通ったファイナンスの考え方が身につくと思う。そして、教える人の実力も折紙つきである。

低価格で学べるものの紹介のような文章になってしまった。趣旨は、学ぼうと思えば低価格で高品質なものがいつでも学ぶことができる状況になってきている、ということを書きたかったのである。そして、この広がりには様々な社会のゆがみに対しての解決策は、教育や学ぶことにあるとの考えが根底にあるような気が勝手にしている(よく、政治家の討論会などが最終的に教育問題へ行き着くような感じ)。

経済学やその一部であるファイナンスは皮膚感覚ではとっつきにくい場合もあるだろうが、世の中を合理的に考える一つのモデルを提供してくれる。世の中のセンシティブな問題でなくても、株式投資であっても「フェアバリューは○○○円だよね、根拠は○○と△△だから」のような、数字で語ることがあたりまえとなる空気が少し広まればよいなと感じた最近でありました。

Written by ZIP

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