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シミュレーションのすすめ -すてっぷbyすてっぷ-

2013年06月07日

あまり注目されていないのが不思議だが、私はシミュレーションという概念は、もっと重要視されるべきだと思う。というのは、専門性のある分野の技術を習得しようとした場合に、書籍などで学んで身につける知識と、実践性を問われる技術には異なる傾向が強いからだ。例えば、英会話を例に挙げてみると、多少の英会話は語学学校で身に付くが、英語圏の人と普通のスピードで会話をするとなると、対応がしどろもどろになってしまうだろう。この状況を乗り越えるには、海外に行くなど英語を喋る必要がある環境に行かない限り、中々身に付かない。
しかし、米国などに留学する際、留学生が一定期間通う大学付属の語学機関などでは、現在英語習得のシミュレーションツールとして、「Scratch My Back」などというカードゲームをさせるらしい。このゲームは、日常的な会話スキルを磨くために、良く使うフレーズが多数盛り込まれているそうだ。使い方としては、相手からの様々なトピックに対して柔軟に要求に応じたり交渉したり、相手の質問に対し様々な角度で自分の意見を述べていけるようになる事を練習する、との事。難易度も初級・中級・ネイティブと分かれており、努力次第でネイティブの言い回しも身につくという、遊びながら経験が身に付くコンセプトのようである。

従って、個人的にシミュレーションは、㈰安価で楽しく手軽に学ぶ事が出来るので継続が可能、㈪”知識だけ”から”体験したこと”の状態になる事が出来、技術の応用も可能となってくる、㈫通常では遭遇できない、トレーニングしたい環境を擬似的に体験できる、などが利点として挙げられるものと考えている。
特に㈪に関しては、専門書を読んでみたとしても、どんな業界でもあんまりに当たり前で、気づきもしないし、文章化や教えたりする事ができない、暗黙知という概念があり、技術体系を身につける上で大きな壁となってくる。
そのため一般的に、現場で時間をかけなければ身に付かないと言う対処方法になってしまうのだが、シミュレーションをこつこつと続けて、自分の中の仮説を一つ一つ試す事で、長年続けてこそ得る事のできる感覚でさえ、習得出来る可能性があるのだ。

近年では上記のシミュレーションのツール以外にも、現実に実験することが困難なケースで、ハードウェアやソフトウェアを使用することで模擬空間を再現し、シミュレーションを重ねるシミュレーターとよばれるシステムがある。少し突飛なところでは、米国陸軍がバーチャルトレーニングシステムとして、某国のゲームを本格的に使用している、などといったニュースを時折目にする。通常の作戦では得る事の出来ない中身となっているらしく、市民のサポートなどにも対応出来る様になるのが狙いらしい。ちなみに、トレーニング中は、ステレオスピーカーやマイクを内蔵したバーチャルヘルメットを着用し、より現場に近い感覚を再現しながら、擬似的な経験を身につけさせているようだ。

最後に市販品のシミュレーター(TVゲーム)の例を挙げると、
個人的に細々と続けている趣味の一つが格闘技なのだが、最近ではストレス発散もかねて、良く出来た格闘ゲームで時折遊ぶようになった。昨今の格闘ゲームは、容量の増大やグラフィックの高速処理が可能になってきたせいか、一部のゲームでは、プロ格闘家の動きをプログラムしてあるキャラクターを操作する事が出来る。
たまにストレス解消に遊んでいると、理論的な動きが思いもがけず参考になったりする(DVDなどで何かの試合を見るよりも勉強になったりします)。運動(特に格闘技)は何かを身につけようとするまでに、体を壊す可能性があるだけ、楽しみながら体験が出来ると言うのは、非常に面白い。

今後、コンピューターの発展に伴い、ますますシミュレーターの精度が上がってくる事が予想され、現実の差異がなくなって行くのだろう。
ちなみに、PCソフトや一般ゲームなどの所謂シミュレーションものは、一般に出回っておらず、製作者のウェブサイトにアクセスしてようやく手に入るものも多い。
良く出来たシミュレーションに関する商品は少ないので、興味のあるカテゴリーがあるなら、インターネットなどでの数時間の検索と多少の出費で手に入れられるものと思われる。(ただし、シミュレーションはシステムの印象が個人によって大きく違うようなので、取り敢えず購入してみない限り、その人にとって、良作か駄作かが分からない、という難点がありますが。)
RPGなどのTVゲームではないが、余暇の時間に伸ばしたいと思うジャンルの現在のレベルアップを図られてみるのは如何だろうか。

Written by すてっぷbyすてっぷ

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