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辛い歴史 -Cranberry Jam-

2012年06月22日

先日うどん屋さんで隣のお客さんがざるうどんを食べながら「ここのつけ汁はからいね」と言ってるのが聞こえました。唐辛子でも入ってるのかなと思いましたがそうではなく、どうやらしょっぱいという意味でからいと言ったようなのです。気になったので調べてみると、西日本の一部では塩分過多を「からい」と表現することが分かりました。なぜ「しょっぱい」を「からい」と言うのか、理由は諸説あるようですが、1つの説をご紹介します。

味覚は生存にとって重要な感覚である為、「甘い」「苦い」「酸い」のような言葉は遥か昔に日本語が誕生したころから既にあった。中でも基本の味覚は塩味であり、元来は塩分過多のことを「からい」と言っていた。中世にポルトガルから唐辛子が伝来した際カプサイシンの刺激を表現するのに、英語では「HOT」(熱い)、 中国語では「辣」(ヒリヒリ熱い)と表すのに対し、日本語では「からい」という言葉を当てた。そのため塩分過多とカプサイシンの刺激が同じ言葉になってしまい、それを区別する為に「しおはゆい」(塩味が映える)という言葉が生まれ、これがしょっぱいの語源である。

なるほど、面白い説です。ということは隣のお客さんは本来の日本語としての正しい用法でつけ汁を「からい」と言っていたことになります。日本では料理で唐辛子をそれほど多く使わなかった為か、元々の塩分過多という意味も駆逐されずに生き残ったようです。ところが昨今は韓国料理やタイ料理のブームなどで、日本史上最も唐辛子の消費量が多い時代かもしれません。私のように本来の意味を知らない人もいるでしょう。本来の用法が失われつつある思うと、なんだか寂しい気もします。
もしまたそのうどん屋さんに行く機会があったら、今度はざるうどんを注文して、つけ汁が「からい」かどうか確かめたいと思いました。

Written by  Cranberry Jam

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