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夏の涼 -Cranberry Jam-

2013年08月23日

暑、暑、暑。今年の夏は例年以上にうだるような暑さが続いています。もはやエアコン無しの生活など想像も出来ません。先日百円ショップで卓上USB扇風機を買ったのですが、百円にしては高性能で大活躍しています。

まだエアコンも扇風機もない時代、日本では暑い夏を少しでも楽しむために、様々な遊びや工夫が生み出されました。まずは夏の風物詩である花火。一発の花火が開いて消える一瞬に、様々な色や形の変化が起こって夜空を彩ります。花火大会に行くと気分が高揚して暑さも忘れるほどです。海水浴も夏の楽しみのひとつです。海水浴は西洋からもたらされた習慣で、江戸時代に楽しまれたのは滝浴びでした。滝浴びの様子は浮世絵にも残っています。滝の近くには茶屋があり、滝は避暑地として重宝されました。江戸時代には屋形船も流行しました。お金持ちは自前の屋形船を作ってその絢爛さを競いました。船の襖を開放すると川から涼しい風が舞い込みます。涼や賑わいを求めて多くの人が屋形船に集いました。当時は虫聴きという習慣もありました。極細の竹で編まれた伝統技法の虫かごは、柔らかな曲線の優しい造形で、中はほの暗くなっています。鈴虫は暗い方がよく鳴くからです。夏に鈴虫の声を聴いて涼を感じました。お化け屋敷は夏の娯楽としておなじみですが、そのルーツは歌舞伎の怪談物です。江戸後期には怪奇色を出す仕掛けを使う演目が、夏芝居として定着しました。涼を求める客のため実際に水を使う演出もあったようです。

暑い季節ならではの夏の装いもあります。まずは何と言っても浴衣。浴衣は元々、お風呂上りに汗を吸い取るための湯上り着でした。そのため着物と違って素肌に直接身に着けます。浴衣から見え隠れする素肌は涼しげな雰囲気を演出します。足元のお洒落と言えば下駄です。暑い夏には竹を貼った下駄がよく合います。竹はひんやりとした感触が心地よく、熱を放出したり汗を弾く効果があります。夏の小物としては、水うちわがあります。ニスが塗られているため水に強く、冷たい水に浸して扇げば涼しい風を楽しめます。見た目も透明感があって、目でも涼を感じられます。

百円の卓上USB扇風機も快適で良いですが、たまには水うちわのような涼の取り方にも目を向けてみたいものです。

Written by Cranberry Jam

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