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参勤交代 -Cranberry Jam-

2014年08月01日

『超高速!参勤交代』という映画を見ました。財政難に苦しむ田舎の小藩が、通常8日はかかる参勤交代を5日でやるよう幕府の命を受け、奇想天外な方法でそれに挑戦するというコミカルな時代劇です。映画を見て興味が湧いたので、参勤交代について少し調べてみました。

太平の世が訪れた江戸時代。お殿様たちは、戦の代わりに参勤交代をはじめました。大名行列は、世の中に藩の力をPRする機会でもありました。お家の威信とプライドをかけて豪華絢爛な行列を競いました。参勤交代を支えたのは沢山の家臣たちです。お殿様が快適に旅できるよう、同行者には、鷹狩りの担当者やお茶の先生、さらには風呂桶を担ぐ人までいました。まさに「お城丸ごとお引っ越し」のような一大イベントです。

故郷の国元から江戸へ向かうその旅路は、苦難の連続でした。渡る予定だった橋が洪水で流されていたり、海岸線の切り立った崖沿いの細い砂地を干潮時に大急ぎで通り抜けたり、泊まるハズの宿まで予定通り到着できずに他の宿を探すも空きが無かったり、そして泊まるハズだった宿から莫大なキャンセル料を請求されたり。参勤交代を任された家老の苦労は想像を絶するものでした。

徳川幕府の参勤交代という政策は、あらゆる面からとても優れた政策だったように思います。参勤交代による支出は、藩にとっては痛手だったかもしれません。しかし各藩に散財させることによって大きな戦力を持たせず、平和を保つという意味がありました。さらには、参勤交代のルートとなる街道や宿場町にはバンバンお金が落ちるため、地方が経済的に潤いました。特に大きい宿などは年間収入の多くを大名行列による宿泊代が占めていました。参勤交代という政策による地方への経済効果は、計り知れなく大きかったことでしょう。アベノミクスならぬ、エドノミクスです。

しかしそんな参勤交代も、江戸の末期に終わりを告げます。そのキッカケは、もちろん黒船到来です。参勤交代は、藩に戦力を持たせないという意味合いがありましたが、外国の勢力と対等に渡り合うには、日本全体として軍備の増強が急務となりました。そのため江戸幕府は、参勤交代の緩和を決めます。その後、長州藩や薩摩藩が軍事力をつけ、ついには幕府に刃を向けることになります。

映画『超高速!参勤交代』を見たことで、参勤交代の実態がどういうものだったのかがよく分かりました。しかも映画としても、笑いあり、涙あり、チャンバラもあって、隠密も活躍する、という時代劇の醍醐味をギュッと詰め込んだようなエンターテイメント作品でした。もうすぐ公開が終わるので、まだ見てない方々はぜひ劇場へ!

Written by Cranberry Jam

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