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ノーベル賞 -Cranberry Jam-

2016年10月14日

先日東工大の大隅良典栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞されました。オートファジーの仕組みを解明した功績による受賞でした。オートファジーのauto-はラテン語で「自分自身」を表す接頭語、phagyは「食べること」。つまり直訳すると、細胞が自分自身を食べること。具体的には、細胞が自身の持つタンパク質を分解する仕組みのことを指します。

ヒトの体は約60兆個の細胞で構成されており、細胞にはタンパク質が多く含まれています。ところがたんぱく質は劣化しやすく、熱や酸化のストレスで変性するため、細胞内には変性たんぱく質が蓄積します。それをお掃除するのがオートファジーです。細胞内に突如として膜が現れてグルリと包み込み、丸ごと封じ込めて分解するのです。たまたま膜の中に入ったものを、古いのも新しいのもまとめて壊すという結構アバウトな方法です。ヒトの体は緻密に出来てそうで意外と大雑把なところもあるようです。分解されて出来た産物は、新たなたんぱく質の材料になります。つまりオートファジーは、お掃除だけでなくリサイクルでもあるのです。常にスクラップ&ビルドを行って、全体として鮮度を保っているのです。

オートファジーについて調べていたら、「納豆に含まれるポリアミンという成分がオートファジーを促す」という記事を目にしました。真偽の程は定かではありませんが、私は納豆が好きなので、これからはもっと食べようと思います。

大隅教授は、大学における研究環境の厳しさを次のように訴えています。「教員が非常に忙しく、なかなか研究時間が無いうえ、博士課程の進学者が減り、大学の研究環境が劣化している。このままいくと日本の大学が空洞化し、ノーベル賞受賞者が、10年後、20年後には、出なくなる。いま学生は貧しくなっていて、支援なしに研究に邁進することは難しい。大学院生の生活を支援し、研究者が自由に育っていく社会を実現してほしい」自然科学の基礎研究はなかなか成果が出にくい分野だと思いますが、だからこそ研究者がのびのびと打ち込める環境を、周りが整えていくことが必要なのだと感じました。

Written by Cranberry Jam

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