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内的な意欲はどこからくるのか考えてみた -ED-

2013年08月30日

Reading furnishes the mind only with materials of knowledge; it is thinking that makes what we read ours.

「読書は知識の材料しか与えない。自分のものにするのは思考である」
この時代の「哲学者」のことはなんと名称をつけるのが的確かわからないが、ジョン・ロックの言葉だそうだ。

私は、自己啓発本や手軽なビジネス本は気休め栄養剤の感じを受けるので嫌いなのだが、ついつい本屋にいくと、ビジネス書では何が売れているかは確認する。しかし、ベストセラーとなるような本は、「あの本を薄くしただけじゃない?」「まとめなおしただけじゃない」と、ついついよがった見方をして買うことは皆無である。
「よくぞこのような本を編集してくれた」と本屋が楽しい期間と、まったく興味を持てなくなってしまうが何が流行っているかを見に行く期間もある。ここ数年は興味がわかない時期になっているため、読書というより、TEDのテキスト版をみる方が多い。TEDのほうが、新しい、短い、わかりやすいと3拍子揃っているからだ。
ダニエル・ピンクの「やる気に関する驚きの科学」というプレゼンをみて、テキストを読んだ。09年のプレゼンらしいが、たまたま検索上位にきていたからだ。

要点は3つにまとめられている。
(1)20世紀的な報酬−ビジネスで当然と思われている動機付けは機能するものの、狭い範囲の状況にしか合わない。
(2)「これをしたら、これがもらえる」というIf−Then式の報酬は、クリエイティビティを損なう。
(3)高いパフォーマンスの秘訣は報酬と罰ではなく、見えない内的な意欲にある。自分自身のためにやるという意欲、それが重要なことだからやるという意欲。
アメリカらしく実験結果をプレゼン中に織り交ぜており、一読するとなるほどと思った。

しかしである。冒頭の言葉のように、「なるほどな」と思うときこそ思考が大事である。再考すると(1)と(2)は「あたりまえ」のことしか書いていない印象が強い。(3)は、そのやる気自体を高めることについては言及されていない。自分自身のためにやるという意欲はどこからわきたつのか。内的な意欲をどのように引き出せばよいのだろう。
個々人のお金や名誉や安定に関する価値観を基に判断を下し、結局は好きか嫌いかで意欲に差を付け、重要さを認識する。そこから内的な意欲を発生させるには、その対象について意識し続けているときに、何かの外的ショックでやる気がでることはあるが、継続性の確保は難しい。何かの外的ショックが何なのか認識できないのだ。
この内的な意欲を発生させる確率の高い仮説を知りたいと思ったが、すぐには見つからなかった。もしかすると、個々人のオーダーメイドにならざると得ないだろうかとも思う。思考とTEDの旅は続くのである。


Written by ED

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