メニュー
TIW Cafe

相場観 -Forever Young-

2016年12月09日

ちょうど、一カ月前、米国大統領選挙で次期大統領がトランプ候補に決まった直後、為替市場で急速に円高が進んだ。しかし、すぐに流れが変わり、ドル高が急速に進行、この日から円は対ドルで10円以上の円安水準で足下、推移している。選挙前は「トランプ勝利は円高」との意見が市場を支配していた。そして、マスコミはこの現象を想定外と報じた。
しかし、選挙の結果に関わらず円安が進む兆候が既にあったと筆者は考えている。一つは昨年末からの急激な円高下でドル高論者が論壇からすっかり退場し、夏場には市場はドル弱気一辺倒になっていた。もう一つは、「1米ドル100円を超え80円台まで円高が進む」などの極端な円高論が現れ始めていたということだ。こうした地合いの中で、選挙前に市場参加者のポジションが過度に円高方向に傾いたため、選挙結果という事実を踏まえ、ポジションの急激なアンワインドが起きたことが今回の円安の背景と筆者は見ている。

証券投資の世界に入り、かれこれ30年近くになる。最初は外国債券の運用、次が外国株式の運用、そして今は、日本株を見ているが中心は外需・輸出関連である。為替が常につきものだったため、なんだかんだと言ってドル/円相場と一番長くつきあっている。当然、失敗も多く、もちろん、成功もあるが、経験から言えるのは通貨間の相対的な比較で動く為替は美人投票であるということだ。そして、そうだと割り切り、「美人薄命」とも言われるため、相場の転換点を見逃さないことが極めて重要である考えている。

繰り返しになるが、一つは、ドル高、円高のどちらか一方向に意見が傾き反対意見がすっかり影を潜めた時、もう一つは例えば今なら、「1米ドル150円まで円高が進む」などの極端な見方が現れ始めた時、という2つが揃った時に相場は終わると考えることが長年で育んだ筆者の相場観だ。今回のドル高に関してはまだ市場は疑心暗鬼である。この意味で相場の転換点はまだ先なのかもしれない。とはいうものの、この思いが当たるかどうかはわからない。ただし、長く相場で勝ち残って行くためには当たる確率が高い自分なりの相場観を持つことが重要だと考えている。

Written by Forever Young

TIW Cafe 一覧 TOPへ戻る