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こだわりが過ぎると世界で負ける -Forever Young-

2012年06月15日

⇒ザックジャパンの快進撃が続く。ワールドカップアジア最終予選はホームのオマーン戦で3対0と幸先良いスタートを切った。続くヨルダン戦は過去の対戦からは分の悪い相手であった。しかし、6対0で大勝した。本場欧州で世界レベルに成長した選手が縦横無尽にピッチを動き回る。相手の弱点を突く明確な戦略に加え、正確なパス回しでゴールを量産した。戦いぶりは従来と次元が違う。そして、敵地で強敵豪州と対戦した。不可解で不利な判定を受けながらも引き分けた。日本サッカーの世界標準への接近を雄弁に語ったと言えよう。

⇒一方、気になるのがお家芸の男子柔道だ。昨年のパリ世界選手権。注目度が高い重いクラスを中心に日本代表は早々と姿を消した。西欧や東欧勢が当然のように活躍した。前回北京オリンピック柔道大会での男子メダリストはアテネから半減し僅か二人に止まった。女子の五人に遠く及ばない。最近のロンドン五輪代表選考会での代表候補の苦戦ぶりは目を覆う。本番はどうなることやら。かつては日本を制す者が各重量クラスでほぼ世界の頂点を極めた。日本男子柔道が世界基準であり、柔道の世界的な発展を背負ってきたはずなのだが。

⇒一昔前に米国人と誤審問題で議論した。2000年シドニー五輪。柔道競技100_超級決勝。篠原選手(現五輪代表監督)がフランスのドゥイエと対戦した。ドゥイエの内股での仕掛けに篠原が内股すかしで返した。先にドゥイエが背中から落ちたに見えた。が、篠原もバランスを崩し横向きに倒れた。主審と副審の一人がドゥイエの技を有効とした。一方でもう一人の副審が篠原の技を一本と判定。もめたがドゥエイの優勢勝ちは覆らなかった。学生時代、柔道に関わった筆者にはドゥイエの技には本気で投げる意思が感じられず、審判への積極性のアピールに思えた。こうした印象もあり、清く一本を取りに行った篠原の一本勝ちが正しかったと主張した。それに対し米国人が篠原は「技で勝ち、戦略で負けた」と評した。

⇒一本勝ち、ルールも含めきれいな勝ちにこだわり続ける日本柔道。ポイント制を前提に勝つこと執着する世界。「ユードー(ドイツ語圏での柔道の発音)」が世界標準として定着した中での日本のこだわりが日本柔道低迷に繋がっているように思える。翻って何のしがらみのないサッカー。世界を積極的に受け入れ世界トップにどんどん近づく。柔道の低迷、これは国産、自前主義にこだわり、世界の分業体制から取り残され弱体化が止まらぬ日本の半導体産業、そして、「きれいに映す」競争にこだわり、消費者を楽しませることを忘れ次世代テレビ競争でも苦戦が予想される日本のテレビにも合い通じるように思えてならない。こだわりが過ぎると世界で負ける。最後の砦、自動車産業にも同様のことが起きねばよいのだが。

Written by Forever Young.

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