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サマータイムを懐かしむことから -Forever Young-

2013年06月28日

金曜日の夕方、一人暮らしの親を見るべく時々新幹線で100kmちょっと西に向かう。6時台半ばの便に乗り15分程で多摩川を渡る。ちょうど一年前の今頃であった。その日は梅雨の晴れ間で夕暮れ時ではあったがまだ外は明るかった。一匹の犬が広い川原を走り回っているのが目に止まった。疲れきったサラリーマンで満杯の車内であと一時間程度昼間が長かったらと考えた。川原は野球少年やテニスをする夏の娘達の笑顔で溢れているかもしれないと。先週の土曜の夕方6時過ぎ、田舎駅から東海動線の鈍行列車で東京大田区の家に向かった。一年前と同様にこの日は天気が良く、小田原を過ぎたあたりからトワイライトの中、電車は西湘の町々を走り抜ける。馬入川の川原を前方に茅ヶ崎を目指すあたりで確り日が落ちた。ここでちょうど一年前と同じような思いに駆られた。

20年と少し前に英国で生活をした。この季節になると当時を強く思い出す。春のイースターホリディの頃、時計を一時間進める。一瞬変な感じがして夏時間にリセットする。それから急速に日が長くなる。そしてウィンブルドンが始まる今頃は最も天気が安定する。仕事を終えるとよく近くのゴルフコースに向かった。友人とコースマップを頼りにグリーンを目指す。カートを引きながら18ホールを回り終えてもまだ日は落ちない。19番ホールのパブで反省会を開く。二人で順番に奢り合うルールだから最低2パイントはビターを飲んで家路に着いた。豊かな日没前の時間を求めて朝からの仕事にも気合が入った。

世界の1/3の国がサマータイム(夏時間)を導入する。その殆どが欧州や北米など高緯度の先進国だ。高緯度の国で導入が多い理由はサマータイムの直接的なメリットは日没から就寝までの時間が一時間減少することによる照明用電力の省エネ効果である。これは北で大きく、季節により昼時間に差がない南で少ないからだと言われる。因みに日本でも1948年から1951にかけてサマータイムが導入された。しかし直ぐに廃止になった。その理由を調べると、緯度の割に蒸し暑い西日本で効果はなく返って睡眠不足に繋がるなど評判が悪かった、サービス残業が増えた、などと訳の分からない指摘に先ず出会う。むしろ、戦後間もない当時の日本は貧しかった。そして、仕事が終り就寝までたっぷり時間があっても沢山食べて何かするなどの余裕はなかったとの指摘の方がすんなりくる。

先の都議会議員選挙は想定どおり与党が圧勝した。現政権へのデフレ脱却、景気回復への有権者の期待の強さを改めて強く感じた。乱暴な言い方だが異次元の金融緩和で景気は浮揚しても持続性が重要となる。景気刺激のために劇薬を打てば副作用が懸念される。持続的な成長への視点から、通常の景気対策に加え、サマータイムに拘るわけではないが、戦後何も変わらぬ社会制度面への見直しがもっと合ってもいい。豊かな今日の日本では日が高く長く、ゆとりある時間が増せば、余計に遊ぼうと言う気になり消費が増え景気を根本から支えるかもしれない。世界地図を眺めれば北半球の先進国でサマータイムが導入されていないのはほぼ日本だけという現実がもっと注目されてもよい。

Written by Forever Young

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