偶々、barで隣りに座った若い男性と話をした。気さくで真面目な雰囲気の男性だった。歯科医だというので、実家も歯科なのかと聞くと、実家は病院と介護老人ホームを経営しているとのことだった。親にはかなりの借金があり、そのため自分が跡を継ぐべきなのか？　また、医療法人は特殊な組織なので、継いだ場合には理事を纏めて経営してゆけるかどうか？　そんな悩みを抱えているようだった。歯科衛生士の話を挟んで、やがて女性の話になった。実は彼にはずっと彼女が居ないとのことだった。ちょっと見は結構いい男であり、全然、そんな風には見えない。

筆者：「えっ、なんで！もてるでしょ！」
M氏：「いやあ?大学時代は全く遊ぶ時間が無くて、やっと歯医者になって遊べるのかと思ったら、女性との出会いが無いんですよ。今の職場は平日休みだし、仕事が終わるのは夜9時過ぎなので、なかなか女性と付き合うことが出来ないんです」筆者：「女子大生はどうですか？」M氏：「あまり若い娘はちょっと・・・」筆者：「あれ、まだ20代じゃないんですか？」　（彼はかなり若く見える。）

M氏：「31です」
筆者：「そうですか、失礼しました。すると20代後半の女性がターゲットですよね。その世代はかわいい娘は普通は彼氏が居ますか
らね」。「でも、30代で独身の女性も今は結構多いじゃないですか？」M氏：「そこはもしかすると地雷かもしれないです」筆者：「確かに。私の友人が言っていたのですが、知り合いの女性に友人を紹介したことがあったそうなんですが、最初はこんなチャライ男みたいな軽蔑的な反応だったそうですが、結局、その日の内に二人がくっついちゃったみたいで、・・・お前？？一体何
なんだって呆れたそうです」「ところで合コンとかは行かないんですか？」
M氏：「合コンには行っていた時期も有るのですが、”私の歯も治して”なんて言って恥じらいもなく口をがばあっと開けるような女の子も少なからず居たりするんですよ。それだけでかなり引いちゃいますよね。それから段々、歯医者だって言わなくなりました」（見た目にもましてナイーブで純情な性格のようだ。）筆者：「もともと歯の綺麗じゃない娘は好きじゃないんですよね」彼は黙って頷いた。

筆者：「患者さんと付き合うことは無いんですか？」M氏：「確かに松田聖子も前の旦那も、離婚して結婚した今の旦那も歯科医ですよね。そういう意味では、患者さんというのは一定の確率で出会いがあるんですよね。」「でも、まだ修行中の身ですし・・・」
横からバーテンダーが口を挟む。バーテンダー：「じゃあMさんはどんな女性がタイプなんですか？」M氏：「ジュリア・ロバーツ」（何故か力強く）筆者：「えっ？　欧米系が好きなんですか？」M氏：「実は私、口の大きな女性が好きなんです」（筆者は妙な納得感を感じながら、しばし、沈黙）（こちらの沈黙理由を悟ったように）M氏：「そうじゃなくて、ボッ・キュッ・ポンが良いんですよ」バーテンダー：「ボッ・キュッ・ポンって久しぶりに聞きましたよ。やっぱりボッ・キュッ・ポンですよねぇ」

（一同笑い）
こうして夜は更けていった。

後書；メルマガを読んでいる友人と酒を飲んだときに、コラムはあまり真面目なものは良くないと諫言をされた。日経新聞だって新聞小説はエロと決まっている。やっぱり皆、エロを読みたいですよ、と。なかなか、身の回りでエロいことはないのだけど、「にやっ」、「くすっ」として貰えたのなら本望です。

Written by　 wildernesswolf