今から45年くらい前、岡山県に住んでいた小学校の時のこと。地域の集まりで海の家に一泊で行ったときのことだった。その日の夕飯のメニューはカレーライスだったのであるが、大人も子供も皆、カレーライスにソースをかけているのに驚愕したことがある。
ソースの入った容器が40人位の人数に対して二つくらいしかなかったので、「ソース！」、「ソース！」と声を出して、奪い合うようにカレーにかけている光景が今でも目に焼きついている。
カレーにソースをかける習慣を知らなかった私は「えっ、ソース要らないの？」と逆に異邦人のように怪訝がられた。
同じような時期だったと思う。東北の父親の実家に行ったときに、やはりカレーに皆がソースをかけていた。その時もソースをかけないことを不思議がられたように記憶している。「ソースかけたほうがうまいっぺ！」

ソースや醤油を料理にジャブジャブかけるのは品が無い田舎者（失礼！）のすること、と当時は母親に教育されていたのであるが････恐らく、その時代は全国レベルではカレーライスにソースをかけることは一般常識だったのだと思う。

しかし、今はソースをかける人はほぼ皆無であろう。数十年ぶりに再会した小学校の同級生と酒を飲んだときに聞いてみたけど、「あの頃は････。」と恥ずかしそうにする。
当時は皆がそれを美味しいと感じていたことが間違いだったのだろうか？
それとも、なんとなくみっともないという同調圧力からカレーにソースをかけるのを止めてしまったのだろうか？

まずは実践。とにかく、カレーにソースをかけて食べてみた。
そこから得られた実感としては次の通り（あくまでも個人の感想です）。
1） 辛いカレーには合わない。
2） 美味しいカレーには合わない
3） 安いカレーには途中からかけて味を変えるのは一つの手段
4） 中濃ソースよりもウスターの方が合うような気がする

昔は、あまり辛いカレーは（専門店以外では）あまり無かった（だから、辛味を増すためにソースをかけた）。
図書館や役所の食堂、立ち食い蕎麦屋で出てくるようなカレーは場合によってはソースをかけてみても悪くないと思う（昔、食堂に置いてあったソースは中濃というよりはウスター系ではなかっただろうか？）。

でも、結局はソースをかけるのはカッコ悪いと多くの人たちが、周りの視線に負けてしまったように思えるのだがどうだろうか？　昔はソースをかけていた人に聞いてみたい。
「本当はソースかけるほうが好きでしょ？」、と。

話が少し逸れるが、私はトンカツにソースと一緒に醤油を少しかけるのが好きである。しかし、トンカツ屋には醤油をテーブルに置いていないことが多い。そういう場合は、「醤油ある？」と店員さんに必ず聞くようにしている。

さあ、これからは辛くなくてあまり美味しくないカレーに出会った時は迷わずに言ってみよう。「ソースある？」
同調圧力が”空気支配”として社会や組織の隅々にまであるのが日本である。
圧力に負けずに自分が正しいと思えることを声に出して表現してゆく。これが今の日本に欠けている事である。

もしかしたら貴方が、衆目も気にせずにカレーにソースをかけることが、日本を変えてゆく切っ掛けなのかもしれない。

さあ、ソースを高く掲げよう！！

By: wildernesswolf（ブルドックの回し者）