日本は資源大国です。えっ、何を言っているのって思われるでしょうが…。これは、昨今話題になっているアーバンマイニング(都市鉱山)のことではありません。確かにアーバンマイニングは大学の先生が考えた良いアイデアですが、実用化できるメタルは限られています。既存の非鉄製錬の生産プロセスが使えなければ、その実現が厳しいのです。例えば、希土類磁石に使われている希土類を分離回収する技術は日本には、ないといえます。これは、わが国に希土類の生産技術がないことが理由です。このため希土類の分離回収を行うのに、世界最大の生産国である中国に持っていく必要があります。現在、中国は希土類の輸出量を制限しているので、はたして返してくれるかどうか疑問が残ります。今回アーバンマイニングが机上の理論だとか、そうじゃないとかの話ではありません。
それでは、何か。答えは、海洋資源のことです。わが国は海洋国家です。かつては点在していると思われていたマンガン塊(マンガンノジュール)は、海洋探査が進むにつれ、最近では至る所に存在していることや、さらにその塊が成長していることもわかってきています。このほか、海底の熱水鉱床(チムニー)には金や銀など貴金属をはじめ、銅や鉛、亜鉛なども豊富にあることがわかってきました。日本近海で発見されたチムニーは11カ所(2006年現在)、他のものに比べ意外に水深が浅いところにあるのが特徴。調査が進むにつれ、ものによっては陸上のものより高品位なものが発見されています。
更に幸いなことに、それらの海底鉱物は太平洋プレートが動くにつれ、日本に向かって近づいているのです。また、太平洋側の排他的経済水域(日本の鉱業法に則る)は他国との領域争いがありません。つまり、これらの資源は、わが国のものだと言うことになります(たぶん)。ちなみに、公海上は国連下部組織である国際海底機構の管理下にあり、マイニングコード(鉱業細則)を審議中となっています。
さらに海底探査にかけては、わが国の技術力が極めて高いものと言えるでしょう(マリアナ海溝で最も深く潜ったのは、日本の潜水艦です)。この技術を使えば、海底資源を取り出すことが可能といえるでしょう。問題は、経済的にペイできるかどうかです。現在のメタル価格では採算が取れませんが、陸上の資源が枯渇し、メタル価格が上昇すれば可能になります(メタルのリサイクルは、何回も繰り返すうちに品質が低下するため、必ずバージンメタルが必要になります)。このとき初めて真の海洋資源となりうるのです。
ちなみに、昨今学会で発表されている有効な海洋資源はメタンハイドレード、コバルト、銅、鉛、亜鉛、マンガン、ニッケル、金、銀、白金、レアメタルなど。
将来の資源調達は、天然ガスや石油のように海底資源が当たり前の時代が来るのかもしれない。地球上の資源は枯渇に向けて進んでいるのです。MOTTAINAIの精神で、日頃からモノは大切に使いましょう。
Written by Mary