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ホタル -Cranberry Jam–

2015年06月13日

 とある田舎のホタル祭りへ行きました。そこにはホタル観賞用の遊歩道があるのですが、一般客がこの遊歩道に入れるのは、一年のうちわずか一週間だけ。歩道は、澄んだ水の流れる沢に沿っていて、その裏手には小さな森が広がっていました。

周りには人工的な明かりはほとんどなく、申し訳程度の薄暗い電球が足元にあるだけで、森の方を見上げると吸い込まれそうな暗闇でした。一歩ずつ確かめながらゆっくりと歩いていると次第に目が慣れてきて、ぼんやりと周りが見えてきました。

奥へと進むと、そこには幻想的な光景が広がっていました。想像していたよりもずっと沢山のホタル、おそらく数百匹のホタルが、静かに光を放っていたのです。淡く、柔らかく、優しい光でした。空を見上げると、満天の星空。ホタルと星明かりによるシンフォニーです。

大自然の共演に没入してボーッと眺めていると、いつの間にか時が流れており、遊歩道が閉鎖される時間が近づいていました。そこへ流れてきた音楽は、「蛍の光」。定番といえば定番なのですが、思わず笑ってしまいました。生まれて初めて、本物のホタルの光を眺めながら「蛍の光」を聞きました。道行く人たちもみな、笑顔でした。

Written by Cranberry Jam

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