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デフレ脱却の先に真の成長社会到来を願う -Forever Young-

2013年04月05日

今年は早く桜が咲き誇り、今週は台風シーズンさながらの暴風雨に見舞われた。季節
の早い到来は景気にプラスと言うが本当にそうなって欲しい。新社会人が誕生する季節性なのか、はたまた大学生の就職活動が本格的にスタートした影響なのか通勤電車内が急に込み始めたように感じる。例年、別れと出会いのこの時期になると、四半世紀以上前に別れた学生生活最後のサークル仲間達のことを思う。最初の会社で出会った同期生とは入社直後の4カ月、研修所で同じ釜の飯を食い、その後全国に分散したが、長らく同じ会社で働いたので、お互い働き場所が変わった今でも頻繁に連絡を取り合う。しかし、同じ年に別れた学生仲間との交流は生活変化の中で次第に薄れ、今では稀となってしまった。

第二次オイルショック後、間もない頃に我々の世代は就職戦線に臨んだ。スタグフレー
ションへの懸念が強い中、著名企業は大概どこも雇用に極めて慎重であった。学生側も安全志向を強めるから大手に人気が集中する。こうした中、半ば度胸試しに終わっても良いと思いつつ受けた有名企業では、筆者も仲間達もいじめられた挙句あえなく落とされ皆苦労した。とはいえ、当時の厳しさはここ数年に比べかなりましだったのだろう。4年生の10月解禁後、11月の終りには皆それなりに卒業後の活躍の場を見つけていた。そして、その後の3月末の卒業式直後、校舎近くの第二部室となっていた喫茶店に当時の仲間達が自然発生的に集まった。誰もが知るような有名企業に身を投じるのではないことへの不安と憂鬱をお互い抱える一方で、友との別れを惜しみ明け方までとりとめのない話が続いた。

当時の人気はやはり東京駅周辺の大企業。事務系では大手商社、都市銀行・保険などの金融、マスコミ、航空・旅行、百貨店などに人気が集中した。ものづくりは世界で活躍する最先端の製品を取り扱う一部を除き余り人気がなかった。今でこそ勢いのあるコンビニや外食産業などはまだ走り始めたばかりで見向きもされず敷居は低かった。しかし、その後、当時人気を博したかなりの企業が倒産、若しくは業界再編の嵐に飲み込まれたという事実をこの時誰が想像できたことだろう。仲間内では数少ない人気企業合格者として鼻息が荒かった彼の会社はもうないがどうしていることだろう。因みにいくじのない筆者は先輩が誘う末端の金融機関に入ったがとうの昔に淘汰されてしまった。大手都市銀行勤務が叶わずやむなく当時馴染みが薄かった外銀に入った仲間は家を3回買い換えた。何が幸いするのか、何が幸せなのかわからない。

先日、当時の仲間が上場企業の社長になったことを風の便りで知った。日用生活用品を扱う地味な会社で当時学生に人気があったとは言えない。とても驚く一方で他人ごとながら嬉しくてたまらなくなった。当時は未上場の会社に憂鬱な表情を浮かべながらも、勇気をもって飛び込んで、頑張った仲間が誇らしく思えた。学生の人気就職先番付を見て毎年がっかりする。基本的にその時代の大企業でかつ好印象の企業に人気が集中する。そして、不況感が強まると公務員人気が台頭し安定志向が一段と強まる傾向は今も昔も変わりがない。むしろ、長期デフレ下でこの傾向は一段と強まってしまったような気がしてならない。政権が変わり、円高修正、株高の流れとなり、今度は本気で景気が上向きそうな雰囲気である。とはいえ、仮にデフレ脱却に成功したとしても、インフレを知らない世代が安定を求めるデフレ時代の思考のままでは先がないように感じてしまう。勇気をもってチャレンジしたものが報われる、仮に失敗してもやり直しが効くといった社会がデフレ脱却、景気回復の先に見えてくると嬉しいと考えるのだが。

Written by Forever Young

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