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アナリストコラム

世界的な自動車需要悪化と国内カーメーカーに関して -高田悟-

2008年10月31日

世界新車市場の約26%(2006年)を占める米国新車販売台数が9月に前年同月比27%減と激減、欧州主要18カ国(西欧)は同9%減で5カ月連続の前年同月割れとなり9月としては10年ぶりの低水準となった。新興国の9月の新車販売台数もインドこそ同5%増と3カ月ぶりにプラスとなったものの、中国は同3%減と2カ月連続の前年同月割れとなった。こうした中、今後の世界の自動車需要に関しては悲観的な見方が支配的となっている。
例えば米国市場に関して新車市場規模は昨年まで1,700万台前後で推移していた。今年は原油高で1,500万台へ縮小するとの見方が当初主流であったが直近では1,400万台割れがコンセンサスになりつつある。また、1979年の第二次石油危機時に1,400万台あった市場規模が1,000万台?1,100万台まで落ちた後、数年足踏みしたことを踏まえ、年初からの原油高による減少に足元の金融危機の影響を加え2009年以降は1,200万台程度まで落ち込んだ状況が暫く続くとの見方も出てきている。

米国の人口は現在約3億人、自動車保有台数は2.5億台、第二時石油危機時と比べ人口は約7千万人増加し自動車保有台数は約1億台増加を見た。四半世紀の時を経て現在は当時とはかなり状況が違う。また、5%程度のスクラップ率から毎年1,250万台(2.5億台×5%)程度の買い替え需要が見込める。更に国連の人口推計から成人人口は暫く年約270万人ペースで増加が予想され、成人人口増がそのまま自動車需要に結びつくと仮定すると控えめに見ても年1,500万台程度の新車需要は潜在的にあると考えられる。従い現在の状況は異常で仮に1,200万台程度まで落ち込んでも短期間で終わると筆者は考えるが余りに楽観的であろうか。もちろん、在宅勤務が拡がり、自動車が不要な社会になってしまえば話は別である。

これまで筆者は20年超、株式他、債券や為替などのマーケットに係わってきた。経験から敢えて述べると、相場が崩れ始めると沿う格好の悲観論が多くなる。そして極端な悲観論が出始めた頃が最後となり相場の転換点になっていることが後から振り返ると多い。もちろん相場と自動車需要は一緒にはできないし、決して安心はしていないが米国市場に加え、逆資産効果や信用収縮を懸念し新興国市場の需要に関しても現状のコンセンサスは悲観的になりすぎているような気がする。中国とインドを合わせた人口は25億人弱で自動車保有台数はまだ僅か53百万台(2006年末)。自動車保有が約76百万台の我が国や米国に比べればモータリゼーションは新興国で始まったばかりとも言える。冷静に考えるとやがて米国が回復し、多少の変動はあっても新興国の成長が持続することで中長期的には世界の自動車需要は増加が続くと予想される。今は鳴りを潜めているが再び原油高や代替エネルギー開発、環境対応、新興国市場が大きく注目を集めてくるだろう。
9月の世界的な新車販売の悪化や為替市場での円独歩高による業績悪化懸念で国内自動車メーカーの株価は大幅に下落している。環境は厳しいが、燃費と耐久性に優りコストパフォーマンスの良い我が国自動車メーカーの世界市場での相対的な成長余力は今なお高いと考える。こうした状況下、国内カーメーカー中では今回の難局をむしろ好機と捉え、乗り越えられ、次の世界市場成長局面で新興国展開に勝り、環境対応で優れた成果が出せる企業が業界の国際再編も囁かれる中、今後の主役になっていくと見ている。

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