最近、新聞紙上で海底資源の記事を目にする機会が増えてきた。来月には、東海沖でメタンハイドレード゙の試掘探査が始まる。それ以外にも、マンガンノジュール、コバルトリッチククラフト層など日本近海に多く、発見されている。
海底資源開発は、商業化に向けて進行中であるが、現時点での問題点はいくつかある。
まずは、公海上の海底資源の場合、排他的経済水域内と異なり、発見者が開発の権利を有するのではない。国連の下部組織である国際海底機構に申請し、許可を得る必要がある。もたもたしていると、太平洋で資源探査を積極的に行っている中国やロシア、韓国に遅れを取ることになる。
次に問題なのは、採掘した資源を海上まで吸い上げるポンプ設備である。石油や天然ガスのように商業ベースに稼動している設備はあるが、メタンハイドレード以外は、気体や液体では無く固体であるため、新たなポンプ設備を開発しなければならない。ランニング中にパイプが詰まったりしないか、メンテナンスコストなど、いろいろ詰めていく必要がある。
最後に最も大きいのがコストである。現在のメタル価格では採算が合わないものが多いのが実情である。ただし、いろいろなメタルの組合せにより採算ラインに乗るケースもある。例えば、白金などは採算ラインにかなり近いといわれている。白金メインとして副産物にコバルトやニッケル、銅などを採集することも可能ではないでしょうか。
現在、陸上の資源は、地上だけでなく、上空、宇宙から資源探査が行われほぼ一巡したといえなくもない。唯一残されたのが密林地帯や標高の高い地域などであるが、森林は水分を含んでいるため、上空や宇宙からの探査が困難といわれ、実際に密林地帯を探査しなければならないし、標高の高い地域は、高山病対策や水の確保などコスト的に負荷がかかる。どちらも時間とコストがかかる。既存の鉱山は、開発が進み、品質が年々低下傾向になるのが実情で、そのことが製品市況の押し上げ要因のひとつになっている。
陸上における新規鉱山開発が難しくなってきた現状では、資源を求め、石油や天然ガス同様に海底に資源を求める時代が、そう遠くないと思われる。