メニュー
アナリストコラム

11/3期本決算発表での注目点 -高辻 成彦-

2011年04月28日

今週より、11/3期の本決算発表シーズンが本格的に始まった。特に本日、4月28日は例年と同様に決算発表が集中している。ただし今回、例年と大きく異なる点は、東日本大震災の影響が加味されていることである。通常とは決算も見方が異なって来ることに注意を要する。会社によっては、12/3期の業績予想の公表を見送るところも出て来るだろう。既に何社か未公表としたところも出て来た。このため、本決算発表での注目点を挙げてみたい。なお今回は特に、アナリストレポートに注視する必要があることを前もってお伝えしたい。各社の決算短信ではこれから述べる情報までは盛り込まれていないためである。

第一に、東日本大震災の被災状況である。これは既に各社、震災直後にプレスリリースを行っているところが多い。しかしながらその後も余震活動が続いているため、状況が変わっているところもあると予想される。このため最新の情報を入手する必要があるだろう。

第二に、震災の間接影響である。特に調達面の状況である。自社で被災していなくても、調達面で影響が生じる可能性がある。仮に受注水準は震災後も力強い状況にあっても、部品不足で実際には供給できない可能性があるため、受注水準のみを以ってそのまま業績トレンドと鵜呑みにするのは注意が必要だろう。また供給先の動向も同様に重要である。

第三に、受注や売上が駆け込み需要かどうかを見極める必要性である。3?4月に需要が急減した会社は意外に少ないと予想される。その背景としては、震災で製品やサービスが需要できなくなる可能性を恐れて、取引先が駆け込みで注文した可能性があるためである。実際、震災後に私たちの身の回りでも品物不足が生じたことは、記憶に新しいだろう。駆け込み需要であれば、駆け込みの一服後は落ち込む可能性が高い。

第四に、主要生産拠点の状況である。これから夏場にかけて東京電力(9501)管内では大幅な節電を余儀なくされることになる。このため、主要生産拠点が東京電力管内にあるかどうか、影響を受けるかどうかを確認する必要があるだろう。

このように注目点のほとんどが震災の影響になるのが今回の決算の特徴だろう。現状では日本政府も補正予算を組んで景気対策に臨む意向であるものの、今回の震災で国内の景気は不透明感が強まっている。各社アナリストの見解も分かれて来ることが予想されるため、十分にご注意いただきたい。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る