メニュー
アナリストコラム

液晶ディスプレイ部材の動向を予想する -高橋俊郎-

2010年10月08日

化学セクターの中でそれなりに材料視される液晶ディスプレイ部材については、概ね会社側計画に近い数値、市場成長は予測機関などが発表している前期比10?20%となりそうであると考える。

月次決算を公表しているため、先行指標として参考にしている台湾のLCD関連企業の動向をみると7月が需要のピークであった可能性がある。8月は前年同期比では数%?数十%増収ではあるが、前月比では横ばいや減少、9月は10%程度の減収が増えてきている。ただ、上期が業績好調であり貯金があるため前期比では数十%の増収は可能だろう。世界市場としては10?20%程度の成長となりそうである。

しかし、予想にブレが出てくる可能性はある。それは受注期間が短くなってきていることと、在庫の積み上げ要素があるためである。

リーマンショック前までは、1カ月や3カ月先までの受注が把握できたが、今回の回復傾向の中で1週間単位でのオーダーとなっている部材もあるもよう。そのためメーカー側も先が読みにくい状況となっている。さらに、落込み後の回復が予想以上に早かったため、適正在庫の確保ができていないまま高稼働を持続している企業もあるもよう。そのため、企業によって、好調持続や減速感が出始めそう、などの違いが出ているようだ。

関連する企業の多くは、11/3期計画を10/3期下期、特に4Q(1-3月)を基準にやや保守的に作成していたと予想される。1Qは前年同期比大幅増で計画に対して10%?20%は上回って着地し、4Qからの好調を維持したケースが多かった。しかし、2Q(7-9月)は計画通りに進捗した企業が多いと予想される。そのため、2Q累計では上期計画を上回る企業が多いだろうが、サプライズのある決算発表は少ない可能性がある。

余談であるが、取材をした中で今度の化学セクターの見方として参考になりそうな事柄を追加しておく。

㈰石化汎用品の数量が増えることで樹脂添加剤の付加価値品を製造している企業が恩恵を受ける可能性がある。
㈪インドは自動車部材関連の需要は旺盛だが、包材(食品が主)は食習慣の違いから拡販には時間がかかる可能性がある。
㈫欧州地域で製造販売をしている企業は、販売先が輸出企業の場合、ユーロ安の影響で業績が想定以上に好調となっている。しかし、欧州地域で完結している製品は特に恩恵を受けていない。
㈬リチウムイオン電池部材は中長期に拡大が見込まれるが、車載用は短期勝負(2015?2020年頃まで)となる可能性もあり、現時点で販売を開始している、シェアを持っている企業に優位性がありそうである。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る