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アナリストコラム

機械セクターの今後の注目点 −高辻 成彦−

2010年05月14日

4月下旬より10/3期本決算説明会シーズンが始まった。今週?来週が決算説明会のピークである。まだ全ての担当企業の本決算が出揃ってはいないものの、機械セクターの本決算から今後の注目点を考えてみたい。先ず、既に決算発表され、レポート配信を終えた担当企業の状況から本決算のポイントをまとめると、

<半導体製造装置>
・機械セクターの中で最も回復力があり、受注拡大の持続性が顕著
・投資の主体がファンドリ(半導体製造業者)からメモリーメーカーへ移り始めた

<工作機械>
・中小型工作機械では回復が顕著であり、フル稼働の状況
・業種別で回復が顕著なのは電子部品向け
・国内自動車産業の設備投資需要は依然低調
・大型機にはまだ回復が本格波及していない

<産業用ロボット>
・国内自動車産業の設備投資需要は依然低調

といった内容に集約される。これらはほぼ予想通りであったが、半導体製造装置や中小型工作機械の回復の早さは想定を上回るものがあった。

中小型工作機械の好調例としては、ツガミ(6101)の小型自動旋盤や、ブラザー工業(6448)のタッピングセンター(小型マシニングセンタ)、そしてファナック(6954)のロボドリル(小型マシニングセンタ)がある。これらは、(1)ほぼフル稼働にまで回復、(2)HDDなど電子部品関連の急速な需要増が背景にある、という点で共通している。

今後の機械セクターの注目点としては、

㈰いつメモリーメーカーからの投資が一段と強まるか(半導体製造装置)
㈪いつ国内自動車産業の設備投資需要が戻るか(工作機械・産業用ロボット)
㈫いつ大型機の需要が戻るか(工作機械)
㈬工作機械メーカー各社が営業黒字化を実現出来るか(工作機械)

などになるだろう。

㈰については、既に動きが少し出て来ていることから、今年下半期(7-12月)には一層顕著になると見ており、あまり不安材料はなくなって来た。㈪と㈫については、今年中はまだ期待しにくいだろう。このため機械セクターの今年度最大の注目点は、㈬の「工作機械メーカー各社が営業黒字化を実現出来るか」になると考える。現時点では、大型機を扱うメーカーを除けば今期黒字化は可能と私は見ている。

なお、工作機械メーカーについては今週までが決算発表のピークであり、既にツガミ、オークマ(6103)、東芝機械(6104)、牧野フライス製作所(6135)、森精機製作所(6141)、ファナックなどは本決算発表を踏まえたレポートを配信しているほか、昨日発表の4月の工作機械受注についても本日、レポートを配信している。残る担当企業(アマダ[6113]など)も順次配信予定であるため、是非とも弊社レポートにご注目・ご参照頂きたい。

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