メニュー
アナリストコラム

2010年の日本株市場の行方?日経平均14,500円予想? -藤根靖晃-

2009年12月25日

株式マーケットが動く理由は何だろうか?
日々の動きは、金利、為替、企業収益、投資家動向、政局などが挙げられる。
ただし、傾向的に捉えるならば株式市場の絶対的な水準は将来の企業収益によってほぼ決定されている。
金利水準は投資家の期待収益率への影響を及ぼし、為替は日米金利差の強い影響を受け、その為替変動によって企業収益(見通し)が大きく変化する。税制や財政政策によっても企業収益は変動する。それだけにこれらの要素を無視することが出来ないことは言うまでもない。しかしながら、合理的なマーケット水準を把握するのは企業収益を見るのが近道である。

弊社(TIW)では、IFISコンセンサスなどの企業収益予想データを基にして、2009年4月からの日経平均のEPS(今期予想、来期予想)を週次で算出した。
その結果、企業業績(予想)と株価の間に興味深い一致を見出すことが出来た。

本年4月以降は、日経平均株価の大幅な上昇局面は3回あった。
最初は、4月28日の8,493円から5月11日の9,451円。
二回目は、7月13日の9,050円から8月5日の10,252円
三回目は、11月27日の9,081円から12月7日の10,167円。

為替の急激な円高による株価下落と、円安への巻き戻しで振れた3回目(11月?12月)を除くと、一回目(4月?5月)、二回目(7月?8月)ともに業績見通しの変化でほぼ説明ができる。
4月から5月にかけて、日経平均の来期予想EPS(TIW算出)は次のように動いていた。
269.71円(4/17)→278.66円(4/24)→355.06円(5/1)→381.54円(5/8)→478.39円(5/15)。このEPSの大幅な変化は、来期予想ベースが、2010年3月期から2011年3月期に切り替わったことが大きな要素を占める。これによって、リーマンショック後の純資産(PBR)中心の尺度から収益(PER)主体に市場の見方が大きく変ったことが株価の急反発を引き起こしたものと考えられる。
7月から8月の上昇局面でも、第1四半期決算を受けて来期予想EPSは、478.87円(7/17)→497.05円(8/21)と20円以上の上昇となった。
しかしながら、第2四半期においては、EPSの変化は508.65円(10/16)→520.21円(11/13)と前2回の決算時に比べて小幅であることと、円高局面に向かいつつあることから株価上昇が抑制された。

さて、12月18日現在の来期予想EPSは520.30円とこう着状態にある。
目先株価が上昇しているのは、1月下旬からはじまる第3四半期決算を踏まえたEPSの上乗せを期待しているものと考えられる。TIWが発行しているアナリストレポートを読んでいても下方修正の可能性よりも上方修正の可能性を示唆するものが多いだけに期待はできるのだろう。
しかし、インパクトの大きな水準にはならないだろう。個人的には来期予想EPS 550円を上回ることはないと考えており、このタイミングでの(投資の)深追いには用心をされたい。
やはり、予想ベースの期変わり(2011年3月期→2012年3月期)が生じる来年4月中旬以降が、株価水準が大きく変化するタイミングとしては本命だろう。

なお、本年5月以降は来期予想ベースのEPSに対して日経平均株価はほぼ20倍前後のPERで推移している。インプライド・リスク・プレミアムも4.5%前後で安定して推移している。
来期予想ROEも6.35%(TIW推定・12/18現在)に回復しており、7%台が再び見込めるようになれば年金基金や外国人の投資対象になり得る可能性も考えられる。
世界的な金融緩和の継続からこの低いリスクプレミアム水準がまだ暫くは続くのであろう。2011年度(再来期)の増益率を30%とみるなら13,500円、40%とみるならば14,500円が日経平均のターゲットとなる。かねてから「ダイヤモンド・マネー」誌上等で主張しているように2010年に日経平均14,500円に達することは非現実的な話ではない(最近、後出しジャンケンで15,000円と言っている方もいらっしゃいますが・・・・)。
大きな山が、4月後半にあることを今一度強調したい。

今後は、毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)に小職のブログ上に日経平均コンセンサス予想EPSを掲載してゆく、投資のご参考になれば誠に幸甚である。
「ラ・マンチャのアナリスト」http://www.fujine.org

2010年は日本の証券市場にとって、また皆様にとって素晴らしい年でありますことを心より祈念しております。
良いお年をお迎え下さい。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る