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アナリストコラム

幻のSQ -坪井信行-

2009年09月11日

メジャーSQを波乱なく無事通過かと思いきや、「幻のSQ」となってしまった。
「幻のSQ」というのは、SQ値を現物・先物の指数が全く届かないで終日推移したことを意味する。
なぜ、それが注目されるのかというと、SQ値算定の際、現物株の売買高が大きくなるためである。SQ値での売買が大きくなれば、SQ値自体が一つの節目になる可能性がある。SQ値を上回る推移なら下値支持に、SQ値を下回る場合は上値抵抗になるからだ。
本日、「幻のSQ」となってしまったことは、今後の相場展開に波乱を予感させるものである。早期にこの水準を上回らないと、調整色を強めることになりかねない。次のSQまでは、今回のSQ値10541.92円を意識しつつ相場を見ると良いかもしれない。
市場は、参加者それぞれの思惑が渦巻く場であり、一つのきっかけが与えられると、状況が一変することもある。筆者は元々ファンダメンタルズアナリストだが、市場に関わる者としてテクニカル面(心理面)は決して軽視すべきではないと考えている。

さて、個別銘柄の選択については、TIWのアナリストレポートをご参照頂くとして、今回は株式市場全体の相場観をどのように投資行動につなげるのかという点を議論したい。なお、相場観自体もTIWとしてレポートを作成しているので、ご高覧賜りたい。

たとえば、今後数ヵ月ないしは、数年間の株式相場が上昇するという相場観を持ったとき、どのような投資行動が考えられるだろう。

一番上がりそうな銘柄を買う?
大型株を数銘柄買う?
小型株を数銘柄買う?
様々な業種・規模の銘柄を数十銘柄買う?
インデックス連動型の投資信託を買う?

一番上がりそうな銘柄の選択に確信があれば、それを買うのが良いだろう。しかし、株式市場全体としては上昇すると期待できるが、個別銘柄の選択までは難しいという人も少なくないのが現実だ。そんなとき、普通はインデックス型の投資信託を買うことが多い。しかし、それよりももっと有利で柔軟性のある投資方法がある。

日経平均先物ミニの活用である。ただし、レバレッジはかけないで現物指数の代替として買うのだ。レバレッジをかけずに(1倍程度で)、先物ミニ1枚を買うのなら、今の水準で100万円強の資金を証拠金として用意すればよい(正確には、指数×100の金額)。あたかも投信を買うかわりに、先物ミニを買うのである。

逆に株式相場が下落するという相場観なら、先物ミニをショート(空売り)すれば良い。単純な話である。
ただ、空売りは性に合わないという人も少なくない。そうした方には、プットオプションの買いということになる。ただし、プットに限らずオプションの買いで儲けることは難しい。時間的価値が時間経過と共に減衰していくからだ。(オプションの売りも、リスク管理が難しいので、初心者には勧められない。)
現物株や投資信託を保有する投資家にとって、プットオプションの買いは、いわば掛け捨ての保険のようなものと位置付けられる。その場合、現在の相場水準より大幅に低い権利行使価格の、いわゆるディープアウトオブザマネーのプットを買うことが望ましい。プレミアムが数十円以内のものを買うイメージだ。
これによって、(昨年のリーマンショックのような)突発的な相場の急落に備えることができる。もちろん、全てをヘッジするには相応のプレミアムを支払う必要があるので、現実的に負担できる範囲を考慮しつつどの程度ヘッジすべきかを考える必要はある。

先物・オプションというと、まだまだ拒否反応を示す人も少なくないが、上手く活用すると、投資行動の幅を広げることができる。ただし、十分に勉強してから取り組むことが肝要である。

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