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アナリストコラム

ファーストリテイリングの今期業績について

2009年01月23日

1月9日に発表されたファーストリテイリングの第1四半期(08年9-11月)の業績は前年同期比46%の営業増益となった。東レと共同開発し保湿性を高めた機能性肌着「ヒートテック」は国内ユニクロの戦略商品として、前年より4割多い2,800万枚が用意されたものの、年末までに完売となる好調な売行き(100万枚は海外で販売)だった。しかし、好調な業績を支えたのは、「ヒートテック」だけではない。メンズ用、レディス用のカジュアルウェアもそれぞれ18%増、16%増と伸び、既存店売上の押上げに寄与した格好である。

1月16日の日経MJ新聞の1面には、この1年でユニクロでの買い物を増やした人は2割で、うち4割程度の人が、値ごろ感や品質を評価している記事が紹介されていた。私も上着の下に着用するインナーアイテムを東京駅構内のユニクロ店舗でよく購入する買い物客の一人だが、天井近くまで豊富に積まれたカラフルな商品の中から気に入った色を選ぶ楽しさは、販売不振による商品在庫のリスクを抑えるため、商品アイテム数を売れ筋の物のみに限定した百貨店や専門店ではなかなか味わうことが出来なくなった。在庫リスクを抑えることは販売効率を高める上で重要な戦略である一方、アイテム数の絞り込みは買い物客の消費動向に微妙な影響を与えているのかもしれない。

ユニクロ事業への評価は海外でも高まっており、前期に黒字化した米国事業に加え、この第1四半期の決算では、英国でもユニクロの既存店売上高は増収基調にあり、赤字幅が減少しつつあることが報告された。英国では既に14店舗が出店されているが、2月下旬にはイギリスの高級百貨店「セルフリッジ」のロンドン店に、初のメンズ専門店が出店される。英国百貨店と言えば、日本では「ハロッズ」や「リバティ」の知名度が高いが、ファッション業界での「セルフリッジ」の格付けは、数年前、日本でブレイクした伊勢丹メンズ館のような、いわば、「ファッション百貨店」の位置付けで、同百貨店のブランド構成やフロアレイアウトなどを観ることで、ロンドンファッションの旬のブランドを知ることができるとのことである。

この「セルフリッジ」には既に、EVISジーンズなど、日本のブランドも出店されており、評価は高いという。2月末からの出店によって、さらにユニクロ人気が高まることは間違いないとみていいだろう。私は、今期(09/8期)の同社の業績について、コンセンサス予想をはるかに上回る22%営業増益の達成は可能とみている。出店によって、固定費などの増加も見込まれるが、国内では12月も依然として計画を上回る好調が続いていることに加え、英国を始めとする海外での認知度もさらに高まっている印象だ。今後、四半期決算ごとの上方修正を期待したい。

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