メニュー
アナリストコラム

最強にして最凶・・・? -鈴木崇生-

2008年10月03日

バークシャー・ハサウェイの名を知らなくても、ウォーレン・バフェットの名をご存知の方は多いだろう。

長期保有の投資家として有名であり、私も、良く知らないまでも憧れに似た感情を抱いていた。
しかし、どうやら見直さねばならないようだ。

9月24日、ゴールドマン・サックス(GS)へ50億ドルの融資を行うとの発表があった。次いで10月1日、GEへ同じく50億ドルの融資を行うとの発表があった。長期保有を前提とし、割安感を受けての純投資であれば好感を受けるのだが。これらの2件の投資、共に優先株で引き受けるという。しかも、永久優先株であり毎年10%の配当がついているとのこと。バークシャー・ハサウェイはこの2件だけで年間10億ドルの配当金を得る話になる。加えて、GSは1株115ドルの行使価格であるワラントを50億ドル分、GEは今後5年間、1株22.25ドルで30億ドル分追加購入する権利を付与したとのことだ。

10月1日付の終値はGS134.50ドル、GE24.50ドルである。単純に今すぐ権利行使を行えば莫大な利益をもたらす内容だ。

サブプライム・モーゲージに端を発した金融不安に景気後退が加わり予断を許さない状況下、行使価格を株価が下回り、利益を生まない可能性は残る。もちろん、両社の経営環境がさらに悪化し、含み損を抱える可能性もあろう。

しかしこの話、行使価格より株価ははるかに高かった時点から行われて決定に結びついたことは相違あるまい。発表日前日の終値に幾許かのディスカウントを行う契約内容であったとしても、両社共に割りの悪い条件を付与しなければならなかった相手、それがウォーレン・バフェットであるのかと思うと、空寒さに似た何かを感じるのは私だけだろうか。

それにしても、GSやGEがそうまでしなければならない状況下にあるのだろうと思うと、不安は募るばかりである。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る