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アナリストコラム

景気後退らしいけど -鈴木崇生-

2008年08月08日

社会経済性生産本部の公表資料によると、若者の意識が30年前と比べてだいぶ変ったとのことである。就社よりも就職に意義を見出し、職に就く判断基準は一流企業や会社の将来性より、能力を生かすことや仕事の面白みに重点が置かれるようになったらしい。

ただし、どんなに能力を持った人でも、働かなければ成果は生まない。気持ちよく働かせ、経験をつませてやることが大事だと思う。

昔、4000名からなる組織に属していたときに管理職の有り様について話し合うことが多かった。年功序列が基本路線であったがために色々な軋轢を生んでいた背景もある。過去の経験則からすれば、評判の悪い人に決まって共通することがあり、同期と会った際に良く笑い話になった。「普通は」「一般的には」と、さも自分の意見が大衆の総意であるかのように語り、押し通そうとすることが多い。

リッカートはリーダーシップ論の中で経営組織には原因変数、媒介変数、結果変数という変数があり、リーダーシップという原因変数は利益、プロダクトの品質など、企業のあらゆる結果変数に影響を及ぼすと説いている。

彼の説くリーダーシップは4段階に分かれており、権威主義から、集団参加へと移行する。その中で動機付けや管理体制などカテゴリーを設け、リーダーシップの位置を指し示しており、集団参加型であるほど良いとされる。例えば権威主義一辺倒の場合、物の管理は独善的で、部下を信頼することなく(人の話を聞かない)、褒賞よりも失敗した際の罰則がメインで生産性を期待できない状況にしてしまう。

企業を支えるのは人である。人がいなければ何も始まらない。今は満足の行く就職ができたと答える人が8割に達するそうだ。上記の意欲から察すれば彼等彼女達は明確な夢を持っているに違いない。景気は後退と判断され不況という言葉が重く感じる昨今なのだが、未来は時を経るごとにやってくる身分は一番下の若者が担うことは明白である。

利益を出すために費用削減が視野に入り、業務提携や統合などの話題が増え、社内にもストレスが溜まることになるかもしれない。このような局面にあるときこそ、上に立つものの資質が一層問われることになると思う。

数字には現れないかもしれない、定性的な側面が企業分析において重要性を増してきた感触を受けている。

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