メニュー
アナリストコラム

新旧逆転の年

2008年08月01日

08年上期(1?6月)のコンビニエンスストアの売上高が全国百貨店売上高を初めて上回った。

日本フランチャイズチェーン協会が発表したコンビニエンスストア(加盟11社)の6カ月累計の店舗売上高は全店ベースで3兆6,559億円(前年同期比3.2%増)となり、同時期では過去最高を達成した。

たばこ自販機用成人識別カード「taspo」を持たない愛煙家が来店するtaspo特需により、コンビニエンスストアの5月の既存店売上高は3カ月ぶりにプラス、平均客単価も10カ月ぶりにプラスに転じ、6月も2カ月連続でプラスを維持した。このふた月は、3月に鹿児島・宮崎の2県から導入が始まった成人識別たばこ自販機が5月に23県(北海道・東北・中国・四国・九州地方)、6月に15県(大阪、名古屋、および甲信越地域)へ拡大した時期に当たる。

さらに、この春から食料品の値上げを本格化した食品スーパーと定価販売を行うコンビニエンスストアの価格差が無くなったこと、節約志向の高まりにより外食を控える人が増えたことなども追い風になった模様である。

一方、1?6月の全国百貨店売上高は前年同期比2.7%減の3兆6,171億円となり、89年以来の低水準に落ち込んだ。通常7月に行う夏物処分セールを前年は6月に前倒しして実施したことの反動減の影響もあるが、商品別の売上高は衣料品が12カ月連続、美術・宝飾・貴金属は16カ月連続して前年を下回っており市場の停滞感は強い。

1904年に日本初の百貨店「三越」が誕生してから、百貨店は日本の小売業をリードする存在であったが、バブル崩壊により絵画や宝飾品などの高額商品の売上が減少。07年の年間売上高は7.7兆円となり、絶頂期だった91年から2割強減少している。これに対し、コンビニエンス業界の07年の年間売上高は7.3兆円。73年に「セブン‐イレブン」の1号店が出店されてからフランチャイズシステムによる店舗展開により急成長を遂げた。そして、2008年は誕生から30年あまりで、かつての小売業の雄であった百貨店を年間売上高でも抜くことが予想される。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る