ファーストリテイリング傘下のユニクロの好調が際立っている。衣料品を販売する大手各社の5月の既存店売上高が軒並み前年同月を割り込む中、3日引け後に発表されたユニクロの速報値は7.9%増。客数、単価ともに前年を上回り、一人勝ちの模様を呈している。
同社の08/2中間期の業績は計画を売上高で121億円(4%増)、営業利益で83億円(18%増)上回る好決算となった。TIWでは上期に大ヒットした「ヒートテックインナー」など機能性商品の好調は、春夏物はアイテム数も少なく、機能面で競合他社との差別化が難しいことから下期に継続する可能性は低いと見ていたが、この好調ぶりである。
今回は反省の念をこめて、5月の好調を支えた「UT」、「ブラトップ」、「ドライシリーズ」について、簡単に紹介したい。
「UT」は07年4月に開業、この5月で2年目を迎えたTシャツ専門店である。量販店のTシャツと言えば、”画一的な丸首にくびれとは無縁のだぼっとした形状、白かブルーの単色”とイメージは大方、固定していると思われるが、「UT」の商品は首周りや袖口の形状・長さなど、性別や年齢を意識した豊富なバリュエーションが揃っており、しかも価格は1,500円。食料品の値上げなどで財布の紐がきつくなっている消費者の「それでも何か楽しい物を買いたい」という心理をくすぐる商品企画は見事と感じる。
「ブラトップ」は女性下着マーケットの中では斬新なものでもないが、既存の流通価格の固定概念を覆す価格設定(1,500円)と、開放感あふれるみずみずしいCMなどが受け、潜在顧客の開拓に成功したと思われる。また、個人的な所感ではあるものの、下着コーナーに立ち寄る時に抱くあの独特の敷居の高さを取り払い、ユニクロ店舗で購入可能という気軽さも売上増に寄与した一因と考えている。
http://www.uniqlo.com/jp/campaign/bratop/
「ドライシリーズ」は聞いただけでは商品を想像するのは少々難しいかもしれないが、汗をかいてもべたべたせず、ドライな肌感触が続くという機能性メンズウェアのことである。近年の猛暑対策として、大手下着メーカーやスポーツ用品メーカーが高付加価値商品として通常のTシャツの3?5倍ぐらいの価格で販売を開始しており、我が家でも昨年は大活躍した。1万円で2枚購入し、おつりは数千円ぐらいだった記憶があるが、ユニクロ価格は1枚1,000円。肌触りも大差なく早速1点購入してみたところ、「かっこいい」と好評であった。東京駅の駅ナカの店舗はアクセスがいいこともあり、閉店間際にも関わらず駆け込んでくるスーツ姿の若者が多く、盛況ぶりが窺える状況であった。
以上、今回のコラムはすっかりユニクロの宣伝のようになってしまったが、これからは小売り担当として出来る限りさまざまな店舗へ足を運び、店頭で味わった感触を先取りしてレポートに織り込んで行きたいと考えている。