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アナリストコラム

ウイスキーと株式投資 -藤根靖昊-

2020年09月25日

2014年から2015年にかけて放映されたNHKの連続テレビ小説「マッサン」を切っ掛けにジャパニーズ・ウイスキーのブームが生じた。これは今でも続いているけど、サントリーの「山崎」「白州」、ニッカの「竹鶴」「余市」などのシングルモルトが数倍に高騰し、それまでは名前の知られていなかった蒸留所(メーカー)のウイスキーも店頭に並ぶようになった。新しい蒸留所もまた生まれている。

筆者は、このブーム以前は国産ウイスキー派であった。スコッチウイスキーを飲むのはカッコつけ趣味で本当は味の分からない輩と決めつけていたのであるが、価格の高騰したジャパニーズ・ウイスキーを前にスコッチ派に転じた。
今ではむしろ、割高な国産ウイスキーを有難がって飲む方が“アホ”じゃないかと思っている。

しかし、そのスコッチウイスキーも1年ほど前から急激に値上がりしてきている。この2~3年に買った筆者のコレクション(それほど本数はないけど)は、軒並み50%~最大4倍くらい上昇している(もっとも、値上がりが期待できないものは殆ど飲んでしまった、反対に飲まずに取っておけば良かったと思うものも少なくはないが・・・・)。

2年位前に飲み会で「100%絶対儲かる投資」という話を一部の方に話したことがあるが、それがスコッチウイスキーへの投資である。高級ウイスキーは蒸留後、最低10年以上は樽で寝かせなければならないだけに、需要が増えたとしても直ぐには増産出来ない。また、確実に消費される(=飲まれる)ことからどんどん品薄になってゆく。中国やアジア諸国の購買力の拡大によって需要は確実に増加するだけに、人気銘柄(蒸留所)、年数、親会社(マーケティング)などを考慮して購入すれば絶対に儲かるというロジックだ(最悪、値上がりしなくても自分で飲めば元は取れる)。

ここに来てスコッチウイスキーが急速に値上がりしているのは、筆者と同じことを考えた資金力のある人たちが買っているのだろう。

ところで、こうして高騰したウイスキーには、その価格に見合うコストパフォーマンスがあると言えるだろうか? それは趣味嗜好、価値感、資金力によって変わって来るだけに一概には言えない部分もあるが、はっきり言って“ある”とは言いがたい。だからと言って、値下がりの可能性も低いことも確かだ。

さて、株式投資はどうだろうか? ウイスキーのように株式には消費されるということはないけど、世界的なゼロ金利で資金が余剰となる中で、債券から株式への資金シフトが生じている。将来、金利が上昇するという状況が見えてくるまでは、高原状態が続くと考えても良いのではないだろうか?
ただし、ウイスキー同様に全ての銘柄が一律に上昇するわけではない。人気銘柄に資金は集中する。それではその人気銘柄となる要素(フラグ)は何か?

ここから先は大変申し訳ないが手の内をあまり晒したくはないので申し上げないが、良く考えればそんなには難しい問いではないはずだ。

ただ、一つだけ言わせて貰えば、人気化する前にそうした銘柄を発掘するにはフラグ以前に、“旨い”か、“そうでもない”かが見極められなければならない。

筆者も最近ようやくウイスキーの本当の旨さが分かってきたように思っているが、そこまで来るには10年以上、毎月5~6本は空けてきた。かなりの先行投資である(笑)。

藤根靖昊

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