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アナリストコラム

中国との緊張高まりを中期的に警戒 -藤根靖昊-

2022年05月24日

バイデン大統領が来日し、23日に岸田総理と首脳会談を行いました。会談後に日米首脳共同声明が発せられ、「自由で開かれた国際秩序の強化」として、ロシアによるウクライナ侵略への非難と制裁継続をはじめ、中国の軍備増強等に対する牽制が声明に込められました。また、バイデン大統領は、記者会見において台湾有事の際には米国が軍事的に関与することを明言いたしました。また、バイデン氏は日米韓・インドなど13カ国を創設メンバーとする新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を表明し、中国に対抗したサプライチェーン再構築やデジタル貿易の枠組み構築を模索するようです。
本日開催されている日米豪印によるクアッドもまた中国に対する軍事的・経済的な対抗を企図したものであり、日本においてこうした政治的なイベントが行われることは、「米中対立」から「中国包囲網」へと中国への牽制が強化される流れの中において、その最前線に日本が位置づけられたことを認識する必要があると考えます。今後の中国の反発・対抗など日中関係に中期的な影響が懸念されます。

先週の米国市場は90年ぶりとなる8週連続の下落となりました。17日発表の4月の米小売売上高は前月比+0.9%(3月分も上方修正)と堅調でありましたが、小売大手(ウォルマート、ターゲット)の業績不振が下落の引き金となりました。金融引き締めによるリセッションリスクへの警戒が強まっている模様です。

今週の米経済指標は、24日:マークイット製造業PMI(5月)、新築住宅販売件数(4月)、26日:1-3月期GDP改定値、27日:個人消費支出・所得・PCEデフレーター(4月)、が予定されています。25日には5月開催分のFOMC議事要旨が公表されますが、 6月および7月のFOMCに各0.5%の利上げは既定路線として市場に織り込まれており、議事要旨から市場の見通しが大きく変わる可能性は低いと思われます。

20日時点のコンセンサス予想EPS(特に来期ベース)は、商社・半導体などの寄与から前週比増加したものの、コンセンサスDI(前週比プラス企業とマイナス企業の割合)は50を下回りました。原材料価格上昇の影響を受ける業種に影響が出ており、好悪まだら模様にあるようです。

日本経済新聞社は23日、日経平均株価の算出要綱及び構成銘柄選定基準の一部変更を検討していることを公表しました。①ウエートが著しく高い構成銘柄に対してウエートの上限を設ける「ウエートキャップ」(当初12%、段階的に引き下げ24年10月には10%)、②定期見直しを年1回から2回に変更(1回あたりの入替銘柄の上限は3銘柄)、➂市場流動性の測定を行う指標のうち、「売買高当たりの価格変動率」を「売買代金当たりの価格変動率」に変更、の3点です。
いずれも22年秋の定期見直しからの適用を予定しています。20日現在でのウエート上位は、ファーストリテイリング(9983)7.84%、東京エレクトロン(8035)7.67%と上限に抵触する銘柄はありませんが、将来的にはこの上限が株価形成において意識される可能性があると推察します。また、入替頻度が高まることによって、よりパフォーマンスが上昇することも期待されます。ちなみに2010年末から先週末(5/20)までの日経平均株価の上昇は2.61倍(10,228.92円⇒26,739.03円)、同期間のTOPIXは2.09倍(898.80⇒1877.37)でした。

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