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アナリストコラム

0.75%は織り込み済みに、目先日本株は好材料豊富  -藤根靖昊-

2022年09月13日

8月26日のジャクソンホールにおけるパウエルFRB議長の講演を機に、9月のFOMC(20-21日)での0.75%の利上げ見通しを市場は急速に織り込んでいます。6日にオーストラリアが0.5%、7日にカナダが0.75%、8日にECBが0.75%の利上げを発表しましたが、利上げに逆行するように2日(終値)から12日までの5営業日でダウ工業株30種平均は1062.9ドルの大幅な上昇となりました。

この間、FRB高官の発言も引き締め的な内容が続きました。「物価上昇率が目標に向かっていると確信を得るまではしばらくの間、引き締め的である必要がある」(ブレイナード副議長・7日)、「来年の始めまでに政策金利を4%超に引き上げ、そこで維持する必要がある」(クリーブランド連銀メスター総裁・7日)、「再度の大幅引き上げを支持する」(ウォラー理事・9日)。こうした発言にも株価は無反応となっており、既に0.75%利上げは織り込まれたと考えられます。
13日に米消費者物価指数、14日に米生産者物価指数(いずれも8月)が注目されておりますが、仮にインフレ率の低下が殆ど見られなかったとしても、市場の揺るぎは限定的にとどまるように思われます。

筆者は、9月FOMCまでは利上げ織り込みから下押し圧力が強く、FOMC通過によって悪抜けから株価は上方に転換すると予想しておりましたが、結果として、想定以上に市場の反応は速かったと言えそうです。

日本株は、米国株式市場の上昇に加えて、サプライチェーンの回復、原油価格の下落、円安による輸出企業の業績へのプラス効果、水際対策の緩和見通しによるインバウンド効果などから、欧米の株式市場よりも底堅く推移することが期待されそうです。

市場の注目点は、9月FOMC後に移行しているように思われます。一つの大きなポイントは、9月FOMCで示されるドットチャートです。前回(6月)時点で示された政策金利(中間値)は22年末3.375%、23年末3.750%であり、引き上げは必至です。その水準によっては11月並び12月のFOMCでさらに0.5%の引き上げも現実味を帯びてきます。

二つ目のポイントは欧州をはじめとした世界経済の減速の影響の深度とスピードです。目先的にはインフレ率の低下というプラス面に焦点が当たっておりますが、企業業績の悪化が現実化する過程とそのインパクトに市場の目線が変わってくるタイミングには注意が必要と思われます。
今後も市場センチメントが目まぐるしく変わる不安定な状態が続くと考えます。

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