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アナリストコラム

来期減益の織り込みが始まる -藤根靖昊-

2022年10月11日

先週の米国株式市場は、週初めはISM製造業景況指数(3日:9月分)が予想外に低下したことや、雇用動態調査(4日:8月分)において非農業部門の求人件数が下方修正された7月分よりも111.7万件減少したことを受けて、金利引き締めへの警戒が後退し大幅な上昇となりました。

しかし、OPECプラスの会合(5日)に11月に日量200万バレルの減産を行うことが決定したこと、FRB高官によるタカ派(引き締め継続)コメントが続いたこと、雇用統計(7日:9月分)において失業率が3.5%(83.7%)に低下したことや平均時給の伸び率が前年同月比5.0%と引き続き高い水準にあったことなどから、FRBが強固な金融引き締めを継続するとの見方が支配的になり、再び株価は下げ基調を強めています。

日本株は先週は比較的堅調な動きでしたが、3連休明けはこうした米国市場の動静を遅れて反映しています。ただし、入国制限の解除に関連した銘柄や中小型のグロース銘柄などは底堅く推移しているようにも見受けられます。

今週は米生産者物価指数(12日)、米消費者物価指数(13日)、米小売売上高(14日)(いずれも9月分)の発表に注目が集まります。物価指数はいずれも前月より低下を市場は見込んでおりますが、ドラスティックな改善がない限りは金利や株価に与えるプラスの影響は限定されるように思われます(逆に市場予想を上回ると株価は大きく下押しする可能性も考えられます)。

8日にクリミアとロシアを繋ぐ橋が爆破されたことへの報復措置としてロシアは10日にウクライナ首都キーウをはじめ主要都市への大規模ミサイル攻撃を行いました。ウクライナ/ロシア情勢は一段と混迷と緊迫感を強めており、食糧やエネルギー価格が再び急騰する可能性も考えられます。

日本株は海外金融市場や地政学リスクの増大などから目先的には再び日経平均株価26,000円割れをうかがう展開も予想されます。

コンセンサス予想EPSでは既に3週前(9/16)から来期予想が今期予想を下回って推移しており、来期減益という認識が次第に強まるものと考えます。米金融引き締めの織り込みが年明け早々に終焉を迎えたとしても、企業業績の減益織り込みが本格化すると考えられるだけに株価の反騰は限定的と考えます。

しかし、そうした環境下ではマクロ経済の影響を受けない小型成長株に資金が集まる可能性が高いと思われます。現在、バリュエーション調整から株価が下押ししている成長株は金融引き締めの織り込み終了後は高いパフォーマンスが期待できると考えます。

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