メニュー
アナリストコラム

中間選挙で共和党大勝なら一時的に株価は大幅高に -藤根靖昊-

2022年11月08日

FOMC(1-2日)後の記者会見において、パウエル議長は「(23年中に4.6%とした9月会合での金利見通しについて)最近のデータを踏まえれば、最終的な金利はより高くなる」と述べ、利上げ停止の議論に関しても「かなり時期尚早だ」と言及しました。FRBの利上げペースの鈍化(の可能性)はあくまでも過去4回に及ぶ0.75%引き上げの効果を確かめることが目的であり、ターミナルレート(最終到達金利)に関しては一段と引き上げられる見通しです。
次回FOMC(12/13-14)においては0.5%と利上げ幅が縮小することが有望視されていますが、ドットチャート(政策金利見通し)においては23年末で5%超に引き上げられることを市場は見込んでいるようです。

4日発表の10月の米雇用統計においては、非農業部門雇用者数は前月比26.1万人増(9月分は26.3万人→31.5万人増に上方修正)と市場予想(20.5万人増)を上回りました。一方で失業率は前月の3.5%から3.7%に上昇しました。好悪入り混じる内容ではありましたが、この結果を踏まえたうえで、サマーズ元米財務長官は、「政策金利を6%以上に引き上げる必要性が生じる恐れがある」と述べています。7日時点での米国債利回りは10年債で4.2%台、2年債で4.7%台と強含みに推移しています。

金利上昇懸念が依然として強く存在するにもかかわらず、米国株は堅調に推移しています。企業業績が事前の予想ほどは悪くはなかったということもあるようですが、米中間選挙での共和党が勝利する見通しによって、政策の軌道修正に期待が生じている可能性も指摘されます。当コラムでは米中間選挙がマーケットの転換点になる可能性に関して以前から指摘してきましたが(10/18付・11/1付)、モルガン・スタンレーは7日付のレポートで、「共和党の全面勝利なら財政支出が凍結され財政赤字が縮小する可能性が高まる。米国債利回りは低下し、株式相場の上昇を支えるだろう」と述べています。

日本株もこうした米国市場のトレンドに乗る可能性が考えられます。主力大型株を中心に28,000円台を回復し、29,000円台を覗う展開も期待されます(この間は成長株は少しお休みになるかもしれません)。ただし、次回のFOMCでの政策金利見通しの引き上げが見込まれることや、来期ベースのアナリスト・コンセンサス予想が引下げ傾向にあるだけに長期的な上昇トレンドにはまだ至らないと現時点では予想します。

小職は、米国利上げのピークが来年春頃と前提を置くならば、23年度の国内企業の減益見通しが織り込まれる4~5月頃が、日本株が本格的な上昇トレンドに入るタイミングと想定しています。

今週は、10日:米消費者物価指数(10月)、11日:ミシガン大学消費者態度指数(11月)が注目されます。10月の米消費者物価指数(前年同月比)は総合で9月の8.2%から8.0%、コアで9月6.6%から6.5%への低下が予想されております。市場予想から大きく乖離しない限りは、波乱は生じないと考えます。

アナリストコラム一覧 TOPへ戻る