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アナリストコラム

次回FOMCに波 乱は見込まれず、暫しのユーフォリア -藤根靖昊-

2023年01月24日

注目された17-18日の日銀金融政策決定会合では、物価上昇率見通しが小幅に変更(上昇)されましたが、緩和縮小は見送られ、長期金利上限は0.5%が維持されました。次期総裁人事やイールド・カーブ・コントロール(YCC)の終了などが今後も市場では議論されると思いますが、次回会合(3/9-10)の頃までは市場を大きく揺るがすことはなさそうです。

米国市場は18日に、卸売物価指数(12月)が前月比▲0.5%、小売売上高(12月)が前月比▲1.1%と市場予想よりも低下したことを受けてリセッション懸念が高まり、2日間(18・19日)でダウ工業株は866ドルの大幅下落となりました。しかし、米長期金利の低下によるインフレ懸念の後退と、中国のゼロコロナ政策の終了に伴う経済再開期待からその後は持ち直しております。
FRBのウォーラー理事の「次回のFOMCでは0.25%の利上げを希望する」との発言が代表するように1月31日~2月1日のFOMCでは0.25%の利上げがほぼ織り込まれていると考えられます。21日からブラックアウト(高官が発言を控える)に入っていることもあり、暫しのユーフォリアが続きそうです。
懸念されていた米国の債務上限問題も法定上限を突破しましたが、米財務省の6月5日まで資金繰りを繋ぐ特例処置(公務員退職・障碍者基金などの運用を変更)により、目先的には棚上げされた格好です。

前回の当コラムにおいて、「(日銀の)会合通過後は一旦、円安・株高の方向に戻すものと考える」と述べましたが、米国市場の反発もあり、予想以上に堅調な株価上昇が続いています。米国市場の暫しのユーフォリアを受けて日本株もまだ上昇する可能性もありますが、しかしながら、次回FOMCまでのどこかのタイミングで一旦、一定の利食いを行ってキャッシュポジションを高めるべきと考えます。

アナリスト・コンセンサス予想は低下傾向をたどっており、来期業績見通しへの懸念が生じています。また、中国経済の回復はエネルギー資源を海外に依存する日本にとっては“両刃の剣”であり、原油価格の上昇には注意が必要です。
18日に国際エネルギー機関(IEA)は2023年の世界の石油需要は前年比1.9%増加し、過去最高になるとの見通しを出しました。ロシア・ウクライナ戦争が長引く中で、供給不安が再び強まりそうです。
東京電力は23日に、6月から家庭用電力料金の平均29.31%の引き上げを経済産業省に申請しており、日銀の予想以上に国内物価高が続くことも懸念されます。

筆者も含めて市場関係者の多くが、23年の前半は米利上げと業績悪化が織り込まれる過程から株式市場には弱気であり、利上げ停止となる年後半に株価の回復を予想しております。
ただ、少し気になったのは18日の日銀の経済見通しにおいて24年度のGDP成長率見通しが前回(10月)の1.5%から1.1%へと大きく引き下げられている点です。この点に関しての報道や解説が今のところ見当たりませんが(見落としているだけかもしれませんが)、年後半回復というシナリオに関しては今後再検討が必要かもしれません。

いずれにしても今週は利食いのポイントを窺いましょう。

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