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アナリストコラム

米FOMCの結果によっては株価は大きく上下に振れる可能性も -藤根靖昊-

2023年05月02日

先週の米国株式市場は、インフレ高止まりが懸念される経済指標が多かったことや、マイクロソフトやメタといった一部の企業を除けば決して好調とは言えない企業決算が続いたにもかかわらず、堅調に上昇しました。

24日には米地銀のファースト・リパブリック・バンク(FRC)から大量の預金流出があったことが公表され、地銀に対する信用不安が再燃することによって一時的に大きく下げる局面もありましたが、米連邦預金公社(FDIC)が逸早く管理下に置くことを示唆したことで収束に向かいました。なお、FDIC51日にFRCを公的管理下に置くと同時に、JPモルガン・チェースが預金と資産を買収することを発表しました。

米経済指標では、週間の新規失業保険申請件数(27日発表・4/16-22週)が23.0万件と前週比1.6万件減少しました。3月の個人消費支出(PCE)物価指数(28日)は2月の+5.1%から+4.2%と大幅に低下しましたが、エネルギーと食品を除く指数では+4.6%と前月から僅か0.1ptの低下にとどまっています。このようにインフレ高止まりが示唆される一方で、利上げによる銀行経営への悪影響の懸念から米国債利回りの上昇は抑えられる傾向にあります。2-3日の米FOMCでは0.25%の利上げが確実視されているものの、利上げ停止が宣言されるかどうかに高い注目が集まりそうです。

日本株は、28日の日銀金融政策決定会合で長短金利操作の維持が決定されたことや、過去25年の金融緩和策を11.5年の期間をかけて多角的にレビューすることが発表されたことが追い風となりました。レビュー期間中でも必要な政策変更は排除しないとされているものの、早期修正の可能性が後退したと市場は受け止めたものと考えられます。

今週は米FOMCに加えて4日にECB理事会が開催されます。米欧の利上げによって一段と円安が加速することも考えられます。経済指標では、3日発表の米雇用動態調査(3月)、5日発表の米雇用統計(4月)が注目されます。

日本はゴールデンウィークの休暇が続きますが、米FOMCの結果やパウエル議長の記者会見の内容によっては、週明け(8日)の株価は上にも下にも大きく振れる可能性が考えられます。来週は国内決算発表のピークを迎えますが、現株価水準は既に今期(23年度)予想をある程度は織り込んだものと考えます。現状では日経平均株価の上限値は来期を一部視野においても3万円程度と考えています。そのため、株価が大きく上方に振れたとしても一時的商状と考えます。

円安は輸出企業の採算改善に寄与しますが、輸入物価の上昇によって日銀の政策修正を迫るものなるとも考えられます。そのため、円安を囃した株価上昇が生じても短命に終わる可能性が高いと考えます。

コロナ禍からの経済回復とインバウンド需要、人口減などから人材不足が深刻化することが予想され、生産性向上に向けた取り組みの加速が期待されます。機械化・自動化・DX化などの促進に加えて、業界再編が様々な分野で生じることが見込まれます。イオンによるいなげやの完全子会社化はその一端のように思われます。今年の大きなテーマになるかもしれません。

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