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アナリストコラム

日経平均株価はファンダメンタルでは上限水準に到達、市場センチメントは強気が持続するものの来週のFOMCを視野に週後半は利確の動きか?-藤根靖昊–

2023年06月06日

5日の東京株式市場では前週末のNY市場の高騰を受け、日経平均株価が終値で32000円台に到達しました。前回の当コラムで「現在のコンセンサス予想を基準にするならば日経平均株価32,000円が上限」と述べましたが、企業業績見通しが上方修正されない限りは、上限水準に到達したと考えています。コンセンサスDI(日経平均採用銘柄の予想EPSが前週比でプラスになった企業の比率)は足もとでは来期ベース・再来期ベースともに強含みとなっておりますが、為替の円安とインバウンドへの期待を反映したものであると考えます。

米国においては債務上限問題の解消によって短期国債の大量発行が見込まれますが、それによって中期的には市場からの資金の吸い上げや米地銀の信用不安などの懸念が台頭する可能性が考えられます。また、経済活動は依然として強く、インフレ鎮静化が緩慢であり、6月のFOMCでは利上げが見送られたとしても、同時に発表される経済・金利見通しにおいてターミナルレート(最終金利)の見通しが引き上げられる可能性が見込まれます。

しかしながら、今週は悪材料が特段見当らないことから、特に日本株では市場センチメントは強気が維持される可能性が強いと思われます。市場平均は上昇ピッチが速く、主力株の上値が重くなる頃合いにおいては、出遅れた小型成長株への注目が強まると考えます。

先週に日米の株価を押し上げた要因は、1)米債務上限を停止する法案が下院(5/31)、上院(6/1)に可決され、米国債がデフォルトする可能性が消失したこと、24月の米雇用動態調査(5/31)において非農業部門求人数が4カ月ぶりに増加したこと、35月の米雇用統計(6/2)において非農業部門雇用者数が前月比33.9万人増と市場予想(19万人増)を大幅に上回ったことなどが挙げられます。

強い経済は政策金利の引き上げに繋がる懸念から株価が売られるのが従来のパターンでありましたが、こうした指標発表前にFRBのジェファーソン理事やフィラデルフィア連銀のハーカー総裁が6月のFOMCで一旦利上げを停止することを支持することを事前(5/31)に表明していたことから市場では利上げの一時停止が織り込まれていました。米2年国債利回りは前の週に比べて低下気味に推移していました。

今週は中国経済の回復状況を占う面でも中国貿易統計(5月分:7日発表)、中国消費者物価指数・生産者物価指数(5月分:9日発表)が注目されます。531日発表の中国製造業購買担当者景気指数(5月)は2カ月連続で節目となる50を割り込んでいました。

来週13-14日にFOMCを控え、13日には米消費者物価指数(5月)が予定されていることから、中国の経済指標の内容によっては週後半は利益確定の動きが強まるものと考えます。

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