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アナリストコラム

アナリスト予想EPSは2Q決算前と比較して減少している -藤根靖昊-

2023年11月21日

日経平均株価は、TIWが算出している「日経平均株価の妥当レンジ」のレンジ上限を上回る状態が続いています。17日時点では上限値を1,685円上回っており、乖離が一段と広がっています。実際の株価はこの妥当レンジの上にも下にも振れることがありますが、いずれはレンジ内に回帰してきます。現在の日本株の上昇は、米国株高に連動した面が強く、バリュエーション面からは高値警戒水準に入っていると思われます。

2Q決算はセクターによる明暗はありましたが概ね好調であったと言えます。会社予想の上方修正もそれなりにありましたが、しかし、業績見通しが一段と良化しているというわけではなさそうです。日経平均株価のアナリスト予想EPS(IFISデータに基づきTIW集計)を9月29日時点と11月17日時点とを比較しますと、今期ベース1803.67円(9/29)→1772.14円(11/17)、来期ベース1930.51円→1897.29円、再来期ベース2129.33円→2113.85円、といずれの対象期間においても減少しています。

円安効果やインバウンド需要のコロナ前越えなどポジティブ要素はあるものの、中国の不振、欧州の停滞、米国経済の減速感など企業業績に対するマイナス要素も顕在化しつつあると言えます。景気減速の影響から米長期金利が低下し、(中東での戦闘が深刻であるにもかかわらず)原油価格が下落していることに対して、そのポジティブ面を捉えているのが現在のマーケットであると考えております。

10月の米消費者物価指数(14日)、米卸売物価指数(15日)を受けた長期金利の低下、つなぎ予算案が成立(16日)したことによって米国株は上昇しましたが、10月の米小売売上高(15日)が減少に転じたこと、週間の新規失業保険申請件数が増加したこと(16日)、など景気後退を示す指標から上値に対して警戒感が出てきているようにも見受けられます。

今週は、22日:FOMC議事録(10/31-11/1分)、24日:マークイットPMI(11月分)が発表予定ですが、FRBのタカ派姿勢や景気減速の顕在化などが見られれば大きく反応するかもしれません。

米国長期金利の低下を受けて、為替が円高方向に振れており、円安期待から買われた銘柄の反動が生じやすくなっているようにも見受けられます。円安やインバウンドが織り込まれた後の好材料を見出しにくい中で、日本株は踊り場局面を迎えると考えております。ただし、こうした踊り場局面では大きく出遅れていた成長株に出番が回ってくる可能性もありそうです。

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