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アナリストコラム

日本株は既に割高水準にあり、上昇余地は限定的 -藤根靖昊-

2023年12月19日

12-13日に開催された米FOMCにおいて金利は予想通り据え置かれました。注目されたSEP(Summary of Economic Projections)においては、24年末の政策金利見通しは前回の5.1%から4.6%に引き下げられました。これは現在の政策金利(5.25~5.50%)から3回(幅0.25%)の利下げを見込むものです。また、会合後の記者会見でパウエル議長が利下げの時期について議論したと述べたことから、米10年国債利回りは3.9%台へと低下しました。市場は24年に6回分の利下げを見込んでいることを反映しています。米国債利回りの低下から米国株は上昇し、NYダウ平均は史上最高値を更新している。
楽観論が支配的になりつつあるようですが、パウエル議長の発言に対してFRB高官からの火消しが相次いでいます。15日にニューヨーク連銀のウイリアムズ総裁が「利下げについて議論した」ことを否定。17日にシカゴ連銀のグールズビー総裁は「インフレとの戦いで勝利宣言をするのは時期尚早」と市場の熱気を冷ますコメントをしています。
また、6回の利下げが必要になるような状況は経済に大きなリセッションが生じていると考えられるだけに、市場はいいとこどりをしていると言えそうです。

日本株は18-19日の日銀金融政策決定会合におけるマイナス金利政策の解除に対する不安から3万3000円を割り込んだ水準が続いてきましたが、政策変更が見送られたことで再び3万3000円台に回復しています。

今週は経済指標として米国では、20日:コンファレンスボード消費者信頼感指数(12月)、21日:フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月)、22日:個人消費支出(PCR)物価指数(11月)が予定されています。国内では20日:貿易統計(11月)、22日:消費者物価指数(11月)が注目されそうです。

日本株に関しては、コンセンサス予想EPSが伸び悩む中で、PERは18倍台と(コロナ禍の一時期を除外すれば)既に高水準にあることから上昇余地は限定的と考えます。円高を反映する形で、来年度のコンセンサス予想では、自動車・機械など輸出企業の見通しが引き下げられつつあるようです。

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