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アナリストコラム

日経平均株価 過去最高値更新も、割高という見解は変わらない -藤根靖昊-

2024年01月09日

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年明けは能登半島の震災、羽田のJAL・海上保安庁機の衝突など重苦しい幕開けとなりました。個人的にも親しくしていただいていた方が元日に亡くなられたことに衝撃を受けました。生きている者は、生きられなかった方の情熱や夢を継いでいかなければならないと思う今日この頃です。

8日の米国株市場は、年初から上昇していた米国債利回りの低下を受けて上昇しました。特にNASDAQ指数は、“マグニフィセント7”を中心に前日比+2.27%の大幅高となりました。VR(仮想現実)とAR(拡張現実)を融合させたゴーグル型デバイスの発売を発表したアップルが上昇したほか、中国EVメーカーへの自動運転技術が採用されたエヌビディアが6%超の大幅高となりました。エヌビディアの上昇は、他の半導体関連株にも波及しています。

これを受けて連休明けの日本株も上昇しました。日経平均株価はザラ場で一時、33,990.28円と過去最高値を更新しました。前回の当レポートで(企業収益見通しから見て)過去最高値更新は25年夏~秋と書きましたが、僅か一週間で陥落してしまいました。

5日発表の23年12月の米雇用統計においては、非農業部門雇用者数は前月比21.6万人増と市場予想(17万人増)を上回りました。ただし、10月・11月分の合計で7.1万人下方修正されており、3カ月移動平均では21年1月以来の低い伸びとなっています。表面上の数字以上にフルタイム労働者が減少してパートタイム労働者が増えているとの指摘もあり、労働需給は着実に引き締まりつつあると言えそうです。また、同日発表の12月のISM非製造業景況感指数は50.6と前月比▲2.1pt低下しました(市場予想は52.6)。分岐点となる50が迫っており景気減速感が増しているようにも見受けられます。

こうした経済統計に対して株式市場は、結果が比較的良好であれば米国経済はまだ堅調であるとのポジティブな評価をする傾向が強く、一方で景気減速感を示す内容にはFRBの早期利下げ期待が強まることで株高要因になり得る状態にあります。FRBがQT(量的引き締め)を緩めるとの見方も台頭してきており、楽観的なセンチメントはまだ続きそうな気配です。
こうした構造が何を切っ掛けとして崩れるかは分からないものの、日米ともにバリュエーション面では割高な水域にあることは間違いないと言えます。いったんは下押しするのか、それとも企業業績が追いついてくるまで割高な水準が維持されるのか、難しいところです。

今週は11日:米消費者物価指数(12月)、12日:米生産者物価指数(12月)の発表が予定されています。足もとで原油価格がやや上昇している影響から前月に対して総合指数で上昇すると見込まれています。

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