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アナリストコラム

やや芳しくない米国経済指標が続く -藤根靖昊-

2024年07月02日

芳しくない米国経済指標の発表が続いています。
6月25日発表のコンファレンスボード消費者信頼感指数は5月分が102.0→101.3に下方修正された上、6月分は100.4と下方修正後の5月を下回りました。
6月27日に発表された実質個人消費(前期比・年率換算)は、1-3月期は+2.0%から+1.5%に下方修正されました。月次(28日発表)でも4月が+0.2%から+0.1%に下方修正され、5月は+0.2%と市場予想(+0.3%)を下回りました。
7月1日発表のISM製造業景況感指数は、6月は48.5と僅かではあるが5月(48.7)を下回り、節目となる50を3カ月連続で割り込みました(市場予想は49.1とやや上向きを見込んでいました)。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、24日の講演で労働市場の発するサインに警戒を促したようです。可処分所得の前年比上昇率が消費者物価指数の上昇率を4月、5月は下回りましたが、雇用と所得への不安が高まりから個人消費にも影響が及ぶ可能性が指摘されています。
今週は、2日:雇用動態調査(5月)、3日:FOMC議事録(6/11-12分)、ISM非製造業景況感指数(6月)、5日:米雇用統計(6月)と主要経済指標の発表が続きます。芳しくない数値が出てきても直ちに株価が反応する可能性は高くないかもしれません。まだ株式市場では悪い経済指標に対しては利下げ想定時期が早まるという楽観論が優勢なようです。

日本株は米国株式市場の堅調さと円安に支えられています。1日発表の日銀短観において大企業製造業の業況判断DIは前回(3月)から小幅改善したものの、大企業非製造業は小幅悪化しました。消費の弱含みや原材料価格の上昇、人手不足などが影響しているようです。インフレによって実質所得が伸び悩む中で個人消費の停滞感は強まりつつあるように思われます。

円安によって製造業やグローバル企業が、また長期金利上昇を視野に金融株には上昇余地が生じるように見受けられますが、個人消費の停滞感が強まることによって、株式市場の上値余地は限られると考えます。
また、小型成長株は円安と金利上昇の両面から敬遠されやすい構造が再び強まることが懸念されます。

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